*最適な介護を、自分で選ぶための情報紙*
┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌日本介護新聞┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌
*****令和3年2月23日(火・祝)第128号*****

◆◇◆◆◆─────────────
新型コロナの「ワクチン接種」に関する12の基礎知識
─────────────◆◇◇◆◆

◇─[はじめに]─────────

 医療従事者に対する先行的なワクチン接種が2月17日から始まりましたが、その担当責任者である河野大臣や、厚労省の田村大臣の発言を聞いていると、高齢者に対する接種は「4月1日以降に開始」からかなり遅れそうな様子です。

 それでもコロナ感染の発症や重症化防止には、やはりこのワクチン接種が大きな効果を発揮することは間違いないようです。それを確認するため、また実際の接種に備えて、弊紙ではここでワクチン接種の「基礎知識」を確認しておこうと考えました。

 厚生労働省は、ホームページで「新型コロナワクチンについてのQ&A」を公開=画像=し、新たな情報が加わるたびに更新していますが、2月22日時点で公表・更新された内容の中から、弊紙の読者にとって「重要」と思われる12項目を今回、取り上げてみました。

 この記事が少しでも、読者の皆さんがワクチン接種に臨む際の「心構え」の参考になれば幸いです。

 日本介護新聞発行人

────────────────◇

◆───────────────────
そもそも「ワクチン」「予防接種」とは何か?
───────────────────◆

厚労省コロナワクチンQ&A ■Q1=「ワクチン」「予防接種」とは何か?

 □A1=一般に感染症にかかると、原因となる病原体(ウイルスや細菌など)に対する「免疫」(抵抗力)ができる。免疫ができることで、その感染症に再びかかりにくくなったり、かかっても症状が軽くなったりするようになる。

 □「予防接種」とは、このような体の仕組みを使って、病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするために「ワクチン」を接種することを言う。

 ■Q2=「ワクチン」には、どのようなものがあるのか?

 □A2=病原体(ウイルスや細菌など)そのもの、または病原体を構成する物質などをもとに作った「ワクチン」を接種することで、その病原体に対する免疫ができる。具体的には、次のようなものがある。

 ▼生ワクチン=病原性を弱めた病原体からできている。接種すると、その病気に自然にかかった場合と、ほぼ同じ免疫力がつくことが期待できる。一方で副反応として、軽度で済むことが多いが、その病気にかかったような症状が出ることがある。

 ▽代表的なワクチンとしては、MRワクチン(M=麻しん・R=風しん)、水痘(みずほうそう)ワクチン、BCGワクチン(結核)、おたふくかぜワクチンなどがある。

 ▼不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン=感染力をなくした病原体や、病原体を構成するたんぱく質からできている。1回接種しただけでは、必要な免疫を獲得・維持できないため、一般に複数回の接種が必要だ。

 ▽代表的なワクチンとしては、日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチンなどがある。

 ▼メッセンジャーRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン=これらのワクチンでは、ウイルスを構成するタンパク質の遺伝情報を投与する。その遺伝情報をもとに、体内でウイルスのタンパク質を作る。

 ▽そのタンパク質に対する抗体が作られることで、免疫を獲得する。今回、新型コロナウイルスの表面にあるタンパク質に対するワクチンが、初めて海外で承認を受けた。

◆───────────────────
ワクチンを投与された人の方が、投与されていない人よりも、発症した人が少なかった
───────────────────◆

 ■Q3=日本の新型コロナワクチン接種は、どうなるのか?

 □A3=ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社などが、ワクチン開発を手掛けている。試験の結果、ワクチンを投与された人の方が、投与されていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少なかったと発表されている。

 □この結果、米国や英国では、ファイザー社等のワクチンの緊急的な使用が認められ、接種が開始されている。日本政府はこれらの製薬企業3社から、合計で3億1,400万回分の供給を受けることについて合意をしている。

 □1人に2回接種を行うとした場合、1億5,700万人分となる。またワクチンが国内で承認され、供給できる準備が整った際に、出来るだけ早く、国民にワクチンを提供できるよう準備している。接種を希望される方々は、無料で受けることができる。

 □日本では、ファイザー社のワクチンが2021年2月14日に薬事承認された。またアストラゼネカ社から2月5日に承認申請が行われ現在、医薬品医療機器総合機構(PMDA)において承認審査が行われている。

 □一方で全国民分のワクチンを一度には確保できず、徐々に供給が行われることになる。このため一定の接種順位を決めて、政府は接種を行っていく。

◆───────────────────
ファイザー社は「変異株にも、作用する抗体がつくられた」との実験結果を発表
───────────────────◆

 ■Q4=新型コロナワクチンの効果(発症予防、持続期間)はどうなるのか?

 □A4=ファイザー社・モデルナ社・アストラゼネカ社は、開発中のワクチンを投与した人の方が、投与していない人よりも、新型コロナウイルス感染症に発症した人が少ないとの結果、または中間結果が得られたと発表している。

 □臨床試験や接種が始まってから時間があまり経過していないことから、効果の持続期間については明らかになっていない。今後の情報が明らかになるのを待つ必要がある。

 ■Q5=ワクチンは「変異株」の新型コロナウイルスにも、効果はあるのか?

 □A5=ウイルスは絶えず変異をおこしていくもので、小さな変異でワクチンの効果がなくなるというわけではない。またファイザー社のワクチンでは「変異株」の新型コロナウイルスにも「作用する抗体がつくられた」といった実験結果も発表されている。

 □承認申請がなされた新型コロナワクチンの審査に当たっては「変異株」に関する情報も含め、引き続き様々な情報を収集しつつ、政府は適切に有効性・安全性等を確認していく。

◆───────────────────
もしワクチン接種後にアレルギー反応が起きたら、接種会場等ですぐに治療する
───────────────────◆

 ■Q6=新型コロナワクチンの安全性と副反応について。ワクチンの安全性の確保のため、政府はどのような取組(審査の厳格性など)をしているのか?

 □A6=開発中の新型コロナ感染症のワクチンの副反応は、国内外の臨床試験等でどのようなものが起こりうるか確認されているところだ。臨床試験では、有効性・安全性等に関するデータを収集するため、開発中のワクチンを実際にヒトに投与して試験する。

 □その後、臨床試験の結果などに基づいて、ワクチンの有効性・安全性、品質についての審査が行われ、ワクチンが承認される。またワクチンの接種が開始された場合には、副反応を疑う事例を収集し、専門家による評価を行う。

 □こうした結果を公表するなどして、政府は安全性に関する情報提供などを行なっていく。

 ■Q7=これまでに認められている副反応には、どのようなものがあるのか?

 □A7=日本への供給を計画している海外のワクチンでは、ワクチン接種後に、ワクチン接種と因果関係がないものも含めて、接種部位の痛みや、頭痛・倦怠感・筋肉痛等の有害な事象がみられたことが、論文等に発表されている。

 □また海外ですでに実施されている予防接種においては、まれな頻度でアナフィラキシー(急性アレルギー反応)が発生したことが報告されている。もしアナフィラキシーが起きたときには、接種会場や医療機関ですぐに治療を行うことになる。

 ■Q8=副反応が起きた場合の、補償はどうなっているのか?

 □A8=一般的に、ワクチン接種では副反応による健康被害(病気になったり障害が残ったりすること)が、極めて稀ではあるものの避けることができないことから、救済制度が設けられている。

 □救済制度では、予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったり、障害が残ったりした場合に、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられる。

 □新型コロナワクチンの接種についても、健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく救済を受けることができる。

 ■Q9=海外では、アレルギーのある人は接種を受けているのか? アレルギーのある人は、副反応が起きやすいのか?

 □A9=米国の疾病予防管理局は、他のワクチンや食べ物に対して重いアレルギーのある方も、新型コロナワクチンの接種が可能としている。ただし重いアレルギー反応を起こしたことがある人は、ワクチン接種後少なくとも15~30分間、観察が推奨されている。

 ■Q10=アナフィラキシーでは、どのような症状が出るのか? 治療法はあるのか?

 □A10=アナフィラキシーは、薬や食物が身体に入ってから、短時間で起きることのあるアレルギー反応だ。じんま疹などの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状が急に起こる。

 □血圧の低下を伴い、意識レベルの低下(呼びかけに反応しない)や、脱力を来すような場合をアナフィラキシーショックと呼ぶ。特定のワクチンだけに起きるものではなく、様々な医薬品やワクチンの投与後に報告されている。

 □例えば、インフルエンザワクチン接種後の副反応疑い報告では、因果関係があるかどうか分からないものも含め、1シーズンで約20件のアナフィラキシーの事例が報告されている。

 □予防接種後に、息苦しさなどの呼吸器症状がみられれば、接種会場や医療機関でまず、アドレナリン(エピネフリン)という薬の注射を行う。そのあと、症状を軽くするために、気管支拡張薬等の吸入や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬の点滴や内服なども行う。

 □接種後にもし、アナフィラキシーが起こっても、すぐに対応が可能なよう、予防接種の接種会場や医療機関では、医薬品などの準備をしている。

 ■Q11=ワクチンを受けた後に、熱が出たらどうすれば良いのか?

 □A11=ワクチンによる発熱は、接種後1~2日以内起こることが多く、必要な場合は解熱鎮痛剤を服用いただき、様子をみることになる。このほかワクチン接種後に比較的起きやすい症状としては、頭痛、疲労、筋肉痛、悪寒(さむけ)、関節痛などがある。

 □ワクチンによる発熱か、新型コロナウイルス感染症かを見分けるには、発熱以外に、咳や咽頭痛、味覚・嗅覚の消失、息切れ等の症状がないかどうかが手がかりとなる。ワクチンによる発熱では通常、これらの症状はみられない。

 □ワクチンを受けた後、2日以上熱が続く場合や症状が重い場合、ワクチンでは起こりにくい上記の症状がみられる場合には、医療機関等への受診や相談をご検討いただきたい。

◆───────────────────
ワクチンを受けた人が、受けていない人に対する感染予防効果は、まだ分からない
───────────────────◆

 ■Q12=ワクチンを接種した後も、マスクは必要なのか?

 □A12=ワクチンを受けた方は、新型コロナウイルス感染症の発症を予防できると期待されているが、ワクチンを受けた方から他人への感染をどの程度予防できるかは、まだ分かっていない。

 □またワクチン接種が徐々に進んでいく段階では、すぐに多くの方が予防接種を受けられるわけではなく、ワクチンを受けた方も受けていない方も、共に社会生活を営んでいくことになる。

 □このため引き続き、国民の皆さまには感染予防対策を継続していただくようお願いします。具体的には3つの密(=密集・密接・密閉)の回避、マスクの着用、石けんによる手洗いや、手指消毒用アルコールによる消毒の励行などをお願いします。

◇─[おわりに]─────────

 このワクチン接種に関しては日々、新たな情報が報じられています。例えば「2回接種しなくても、1回だけでも効果がある」等。弊紙では今後もワクチン接種に関して、最新の情報を読者の皆さんに、できるだけ早くお届けしていきたいと思います。

────────────────◇

 ◆日本介護新聞・本紙(エンドユーザ─版)バックナンバー
・PC/スマートフォン版=http://nippon-kaigo.blog.jp/
◎購読申し込み(「まぐまぐ」サイト)=https://www.mag2.com/m/0001677525.html
 ◆日本介護新聞「ビジネス版」バックナンバー
・PC/スマートフォン版=http://nippon-kaigo-b.blog.jp/
◎購読申し込み(「まぐまぐ」サイト)=https://www.mag2.com/m/0001687235.html
 ◆公式ホームページ=http://n-kaigo.wixsite.com/kaigo
 ◆弊紙専用アドレス=n-kaigo@nifty.com
 ◆弊紙ツイッター=https://twitter.com/Nippon_Kaigo 
 ◆Facebookページ=https://www.facebook.com/nipponkaigo

(C)2021 日本介護新聞