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*****令和2年10月31日(土)第123号*****
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介護と医療の連携「どのように医師と付き合って行けば良いのか?」連載第3回目
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◆連載第2回目から続く。画像は、セミナーで登壇した産業医科大学の田中良哉教授が、リウマチの症状を説明するために使用したパワーポイント。
※注=講演で登壇した皆さんは、薬剤の実名を挙げて説明しましたが弊紙の読者には、馴染みがない難しい名称の薬剤よりも、その効用等の説明の方が重要と考え、記事では本紙の文責で敢えて、薬剤の名称を「代表的な薬剤」「ある治療」等の表現に変更しました。
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「起こるであろう副作用」を察知するため、出来るだけ早く医師に症状を伝える
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「リウマチセミナー」では、主催者が発表したアンケート結果に対して、愛知県医療療育総合センターの石黒直樹総長が専門家としてコメントしました。この中で石黒総長は「医師と患者のコミュニケーションの重要性」を、たびたび指摘しました。
弊紙ではこれを「高齢者の立場」から、どのように実践すれば良いのか、石黒総長に質問しました。質疑応答の内容は、次の通りです。
▽質問・本紙=「医師と患者がコミュニケーションを取る」との視点から、患者が医師に対して「このような点は、遠慮せずに明確に主張した方が良い」という点があれば、教えて下さい。
▼回答・石黒=もちろん「治療の効果」は大切ですが、最も重要なのは「副作用」です。これを「できるだけ、早く把握する」ことがポイントです。具体的には、ある治療を行った場合に「起こりやすい副作用」「起こるであろう副作用」が該当します。
▼「起こるであろう副作用」というのは、事前に把握ができます。そしてそれを正しく、医師は患者さんに伝える必要があります。例えば、リウマチ治療のある代表的な薬剤は、帯状疱疹(たいじょうほうしん)という副作用を持っています。
▼これは、日本人やアジア人に多く起こるというデータがすでに出ていますので、そのような症状が「起こり始めの時」に、患者さんは症状を医師に正しく伝えることが肝心です。「最近、何かおかしい」とか、あいまいであっても的確に情報を伝えることです。
▼そのためには、薬剤について知っていなければなりません。そのようなことも含めて、本日の講演で話題になったように、医師と患者さんが、薬剤について良い面も悪い面も正しく理解し、十分な知識を持つことの重要性が本日の講演で確認されたと思っています。
▼治療が高度化すればするほど、効果は期待できます。でもやはり「万全」がない以上は、このような(例えば薬剤の副作用という)問題に互いに気を付け、互いが知識を持つ必要がある、ということです。
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注意は必要だが「高齢者だから使えない」という薬は、ない
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今回の「リウマチセミナー」で登壇した、産業医科大学の田中良哉教授は、リウマチ治療のこれまでの歴史や最新の治療法等について講演しました。その中で効果の高い薬剤は、副作用の心配も高まるのでは……と弊紙は感じ、この点を田中教授に質問しました。
▽質問・本紙=本日の講演では、関節リウマチの最新の治療法の紹介がありましたが、これらは比較的若い方を対象にしているのではないかと感じましたが、同じ治療法を75歳以上の後期高齢者にも、そのまま適用できるのでしょうか?
▽特に患者が後期高齢者だと、効き目が強い薬であればあるほど、副作用も心配になりますが……。
▼回答・田中=指摘通り、最新の薬は(効果も強いので)高齢者には気を付けて使用しなければなりませんし、私たちも十分に注意をはらっています。しかし「高齢者だから使えない」という薬は、ありません。
▼まず、スクリーニング(特定の条件などに照らして、複数ある対象の中から、条件に合致する対象を選別すること)をキチンとやることです。その後に定期的にモニタリング(観察・測定・検査など)を行うことが大切です。
▼そうすれば、例え最新の薬であっても、高齢者にも十分に使用できます。
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今までの人生で積み上げてきた経験から「出来る・出来ない」を判断する
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今回のセミナーでは、リウマチ患者の立場から「日本リウマチ友の会」の長谷川三枝子会長が「治療目標達成のための医師・患者コミュニケーション」について意見を述べました。同会の会員にも高齢者の方が多いのではと弊紙は考え、これに関して質問しました。
▽質問・本紙=75歳以上の後期高齢者が、関節リウマチの治療に向かい合う際の留意点やアドバイスがあれば教えて下さい。
▼回答・長谷川=私たちの「日本リウマチ友の会」の会員も高齢化していますが、関節リウマチの治療にキチンと向き合っている会員もおり、なかには90歳を過ぎても「友の会」が依頼した実態調査に、キチンと回答して下さる会員の方もおられます。
▼それは、高齢になったからむしろ緊張して、今まで生活してきた延長で80代や90代を迎えられているからでは、とも思います。もちろん、高齢になればいろいろな障がいが出てきますが、それなりに、ご自分の年相応に病気を受け入れておられると思います。
▼その上で「出来ること」「出来ないこと」を認識し、周りとの兼ね合いの中で生活をしていくことが重要で、今まで積み上げてきたご自身の経験から(生活上の動作などが)「出来る」という選択をするのが一番良いのかなと、私は思います。
◇─[おわりに]─────────
今回の連載で、読者の皆さんが医師と関わる際のヒントがつかめたら幸いです。これも以前に本紙で書いた記憶があるのですが、弊紙発行人がある地方都市で、介護保険の事業計画策定に携わっていた際に、他のメンバーは全て「有識者」でした。
地元の医師会の会長だったり、薬剤師会の代表者だったり、通所介護事業所の所長だったり、大学教授だったり……。そこでふと疑問に思ったのが「何でこのメンバーの中に、介護保険サービスを利用しているユーザーがいないのだろう?」ということでした。
その疑問を会議の席でぶつけると、皆さんは「そうですね」とうなずくものの、結局は「黙殺」されてしまいました。今回の連載を通して、この時の出来事を思い出しました。今回のテーマは「どのように医師と付き合って行けば良いのか?」でした。
これは介護サービスでも同様のことが言えるのでは、と思います。介護サービス利用者にとって「最適な介護」とは、サービス事業者から一方的に施されるだけでなく、利用者側も意見を述べて、互いが協力することで「最適な介護」が実現できるのでは、と思いました。
今後、本紙でもそのような事例を見つけて、ぜひ取り上げてみたいと思います。
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