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*****平成29年11月26日(日)第30号*****

◆◇◆◆◆今回のキーワード1【介護支援専門員(=ケアマネジャー)】

 ケアマネジャーとは、要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じるとともに、介護サービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるようにケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や、市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う者とされています。

 また、要介護者や要支援者の人が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識・技術を有するものとして、試験に合格し、介護支援専門員証の交付を受けた者とされています。

 ケアマネジャーの試験の正式名称は「介護支援専門員実務研修受講試験」といい、全国一律の日時と問題で各都道府県が実施します。試験は年1回で、毎年10月頃(今年は10月8日)、合格発表は11月頃にあります。

 「介護保険制度の要」とも言える重要な仕事で、このため実務経験など受験するにも様々な要件があります。当然、簡単には合格できず、昨年の平成26年の試験では約12万4千人が受験して合格者は1万6千人。合格率は13・1%でした。

◆◇◇◆◆今回のキーワード2【訪問介護の「生活援助」を巡る問題】

 介護保険制度や、その保険給付費に関する事項は全て厚生労働省が担当しますが、その「保険給付費」の多くは、国の社会保障費から支出されます。このため、国の「お財布役」とも言える財務省が、介護保険の制度や給付費の改定議論をする際に、様々な「指摘」を行います。

 現在、財務省は訪問介護の「生活援助」について、次のような指摘を行い「大幅な見直しが必要」と主張しています。

[1]訪問介護は、サービス内容に応じて「身体介護」と「生活援助」に区分され、このうち「生活援助」は、「利用者が一人暮らしであるか又は家族等が障害、疾病等のため、利用者や家族等が家事を行うことが困難な場合」に「生活援助中心型」として、 所定の報酬を算定することができることとされている。
[2]「生活援助中心型」の利用状況を調査したところ、1人当たりの平均利用回数は月10回程度となっているが、月31回以上の利用者が2万4748人にのぼり、中には月100回を超えて利用されているケースも認められた。

 また、例えば、要介護1・2の者の場合、利用者の約9割は月20回までの利用であり、残り1割の利用者は月20回以上、中には100回以上の者がいるなど、全体として利用状況に大きなばらつきがあり、利用者の状態に沿った効率的なサービス提供が行われていない可能性がある。

◇―[はじめに]―――――――――――

 前回、第29号を10月9日(月)に発行して以来、約1ヶ月半の間、弊紙の発行が止まってしまいました。誠に申し訳ございませんでした。弊紙に期待を寄せて下さる読者の皆様の期待に応えられず、大変申し訳なく思っています。深く、お詫びいたします。

 第29号を発行して以降、介護保険の報酬改定の議論がピッチを上げて進んでいます。特に、10月27日からは毎週水曜日に、厚労省が設置する有識者会議(=介護給付費分科会)が開催されています。それ以来、現在までに5回を数えています。

 弊紙もこれまで、読者の皆様から様々な意見を頂いていました。主に、次のような内容です。

 1、一回当たりの記事の内容が、長すぎる。もう少し短く、簡潔にまとめて欲しい。
 2、発行回数を、もっと増やして欲しい。その分、多くの話題に触れて欲しい。
 3、内容が難しい。介護が全く初心者の人間向けに、もう少し分かり解説して欲しい。
 
 これら頂戴した貴重なご意見を弊紙に反映させるため、今回の第30回の発行を機に、紙面を大幅にリニューアルすることにいたしました。具体的には、次のような方針を定めました。

 1、一回当たりの記事の分量を、できるだけ短くまとめる。
 2、その代り、発行回数を増やす。具体的には、これまで一つの話題を1回の記事に全て収めていたものを、数回の発行に分割して、さらに要点を的確に解説する。
 3、記事の冒頭に「キーワード」を設け、難しい介護の専門用語を解説するとともに、このキーワードを見ることで、その回の記事がおおよそ、どんな内容なのかが一目でわかるようにする。

 今回を機に、この方針に沿って紙面を抜本的に改革し、日々進展している「介護保険の報酬改定の議論」を、できるだけ早く、よりわかりやすく、読者の皆様にお伝えしてまいります。

 どうか今後とも、弊紙をご愛顧頂けますよう、お願い申し上げます。

 日本介護新聞編集局一同

◆―【ケアマネジャーと「生活援助」】―――
 訪問回数が多いケースにどう対応する?
――――――――――――――――――◆

 先週の水曜(11月22日)に、第152回介護給付費分科会が開かれました。ここで議題になったのは、介護サービスの各メニューのうち、居宅介護支援(ケアマネジャー)、介護老人保健施設(通称=老健)、介護療養型医療施設、介護医療院(新設予定)、短期入所療養介護(通称=ショートスティ)の5項目でした。

 今回はこのうち、ケアマネジャーの業務について、以下の5点の論点について、議論しました。

 論点1=医療・介護連携の強化
 論点2=末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメント
 論点3=質の高いケアマネジメントの推進
 論点4=公正中立なケアマネジメントの確保
 論点5=訪問回数の多い利用者への対応

 今回はこのうち、読者の皆さんにとっておそらく最も身近な話題になると思われる「論点5」の内容について、お伝えします。

 今回の「キーワード2」で述べたように、財務省は「訪問介護の『生活援助』を見直す必要がある」と、厚労省に指摘しています。介護給付費分科会では、主に認知症の方を介護する人々や、認知症の方を抱える家族の方々から、「認知症の介護サービス利用者が『生活援助』を利用すれば、月100回訪問することは決しておかしいことではない」と強く反発しています。

 そこで、厚労省は会議で、次のような「対応方針」と「対応策」を提示しました。

 【対応方針】訪問回数の多いケアプランについては、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、市町村が確認・是正を促していくことが適当であり、ケアマネジャーが一定の回数を超える訪問介護を位置付ける場合には、市町村にケアプランを届け出ることとし、届け出られたケアプランについて、市町村が地域ケア会議の開催等により検証を行うこととしてはどうか。

 【対応策】訪問介護(生活援助中心型)が通常のケアプランよりかけ離れた利用となっていることや、保険者の事務負担を考慮して、具体的な届出の範囲等は以下のとおりとしてはどうか。

 ≪届出の範囲≫訪問介護(生活援助中心型)の回数が、通常の利用状況と著しく異なるもの。具体的には、要介護度別に「全国平均利用回数+2標準偏差(2SD)」を超えるもの(=4.3%~6.1%程度で、全体で約2.4万件)としては、どうか。

 ≪届出対象≫届出の範囲を平成30年4月に示した上で、6ヶ月の周知期間を設けて10月から施行することとしてはどうか。

 つまり、全体の平均から大きく外れた約4~6%の「生活援助」について、ケアマネジャーが届け出て、その後「地域ケア会議」で妥当かどうか検討する、という内容です。

 この厚労省の提案に対し、ケアマネジャーで組織する全国団体の副会長は当日、意見書を提出して、次のように述べています。

 「特定のサービスの頻回な利用については、国民健康保険団体連合会のデータを活用する等、焦点化したケアプランチェックや地域ケア個別会議等による検討をお願いしたい」

 この文面からみれば、どうやら協力する方向のようです。

 ただ、財務省が指摘している「月100回以上」のケースも、現実的にはケアマネジャーがそのようなケアプランを作成したので実行されているはずです。この点を踏まえ、「月100回以上」の内容について調査をし、もう少し踏み込んだ指摘をしてもらえれば、その「是非」の議論に大きく役立ったと思われます。

 また、この「生活援助」については、その業務を専門的に行う「新たな資格の創設」の議論も、並行して行われています。弊紙では、介護保険制度の中でもこの訪問介護、特に「生活援助」が最も重要なサービスであると考えています。サービス利用者にとって、「利用しずらい」ような方向に進むことだけは、避けて欲しいと切に願い、引き続き皆さんに情報をお届けしてまいります。

◇―[おわりに]――――――――――――

 リニューアルの第1回目を最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。弊紙の「改革」もまだまだ、道半ばです。これからも皆さんのご意見に真摯に耳を傾け、「わかりやすい紙面」を目指してまいります。これからもどうか引き続き、弊紙のご愛顧をよろしくお願い申し上げます。

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