日本介護新聞バックナンバー

弊紙は「最適な介護を、自分で選ぶための情報紙」を目指し、日本最大級のメルマガサイト「まぐまぐ!」を利用して配信しています。平成28年12月1日に創刊し、月に約3回発行しております。ここではバックナンバーを掲載しておりますので、ぜひご覧下さい。無料で購読できますので、ぜひ一度「まぐまぐ!」からお申込みを頂ければ幸いです。私たちは「初心者の視点」を忘れず、読者との「対話」を心がけ、読者の皆さんが最適な介護を選ぶのに役立つ「提案」をいたします。https://www.mag2.com/m/0001677525.html

*最適な介護を、自分で選ぶための情報紙*
┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌日本介護新聞┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌
*****令和5年5月31日(水)第158号*****

◆◇◆◆◆─────────────
「『病院の給食は、まずくて当たり前』との認識では、患者の状態は改善しない」前編
─────────────◆◇◇◆◆

◇─[はじめに]─────────

 私事で恐縮ですが、弊紙発行人の親は80代後半で、通所系のサービスを週2回受けています。ここはお昼ご飯が付いていて、食事後に自宅まで車で送ってくれるのですが、親は帰宅したとたんに「お腹がすいた」と訴えます。

 そこで食事の内容を聞いてみると、食事量・内容とも「これではお腹がすくのも当然だろう……」といった程度しか摂取していません。一度、事業所側と交渉してみたのですが「必要なカロリーは、管理栄養士がキチンと計算しています」との答えでした。

 「本当に他の、食事を提供する介護事業所も同様なのか?」と、以前から疑問に感じていました。この弊紙発行人の疑問に答えてくれたのが、5月18日に開催された日本慢性期医療協会(日慢協・橋本康子会長)の定例記者会見でした。

 ここで、橋本会長は「病院給食に栄養はあるか? ~寝たきり防止への栄養管理~」と題して講演し「『病院の給食は、まずくて当たり前』との認識では、患者の状態は改善しない」と指摘しました。

 介護事業所と病院とでは経営環境も違いますが、利用者・患者の食事の提供に管理栄養士が関与している点では、全く同じ条件下にあると思います。そこで今回の本紙では、この橋本会長の講演内容を取り上げ、この課題の解決策を探ってみたいと思いました。

 内容が多岐に渡るため、今回は「前編」「後編」の2回に分けて連載いたします。今回の記事が、介護サービスを受けている読者の皆さんや、そのご家族が介護事業所を選択する際のご参考になれば幸いです。

 どうか最後まで、ご一読頂ければと思います。

 日本介護新聞発行人

──────────────────◇

 今回の記事は「はじめに」で記したように、橋本会長の5月18日の記者会見で、日慢協が「BLOG」に掲載した内容をベースに構成しておりますが、内容の一部は読者の皆さんにも理解しやすいように、表現等を弊紙で一部変えております。

 この点をご了解の上、読み進めて頂ければ幸いです。

◆───────────────────
「栄養量・食欲増進・摂食機能強化の3点で、病院の給食の改善を進めていくべき…」
───────────────────◆

 寝たきり防止へ向けた慢性期医療の課題は、担い手の「質」「量」「意識(やる気)」の改善である。今回は「リハビリテーション質の向上」に関わる課題として「リハビリテーション栄養の充実」について述べる。

 「病院給食に栄養はあるか? ~寝たきり防止への栄養管理~」というテーマで、日慢協の見解を示したい。具体的には<1>栄養量の設定<2>食欲の増進<3>栄養管理実現へ──という内容で整理している。

 <1>については、現行の「基準栄養量によって、体重減少や低栄養が進行するのではないか?」という問題意識を示したい。<2>では「病院の給食はまずい」と言われる要因について説明する。

 ここでは「給食部門の赤字によって、食事改善が進まない」という問題を指摘する。「病院の給食は、まずくて当たり前」という認識では、患者さんの状態が改善しにくいと考えている。

 <3>では、栄養量・食欲増進・摂食機能強化の3点で「改善を進めていくべき」との考えを示す。

◆───────────────────
「そもそも患者は、急性期病院で治療中に低体重(=低栄養)になり改善できずに…」
───────────────────◆

 そもそも患者は、急性期病院で治療中に低体重(=低栄養)になる。その後、回復期やわれわれの慢性期へも、その状態(=低栄養)で入院し(低栄養が)改善できずに退院している。

 これら一連の流れにより、入院患者の栄養状態が懸念される。「治療による体重の減少」は避けられないが、治療後の回復期や慢性期でも体重が回復せず、そのまま退院するケースが多い。

 入院患者の栄養状態は、身長と体重から計算されるボディマス指数(BMI)を用いて評価される。BMIは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値で、肥満度を示す指標として広く用いられている。

 BMIによる評価では「体重が減少しすぎて、栄養状態が悪化した場合」も確認可能だ。例えば、体重が65キロで身長が170センチの人が5キロ減量すると、BMIが20まで下がる。

 これ以上体重が減ると、患者は「痩せすぎて、栄養状態が悪い」と判断される。病気になる前の60代男性の平均BMIは24で、これは健康な体重の上限に近い値だ。しかし、病気になり急性期の入院治療を受けると、平均5~7キロの体重減少が見られる。

 これにより、BMIは21.6まで下がる。入院患者がリハビリテーションを始めるとき、すでに栄養状態は悪化した状態に陥っている。慢性期の病院やリハビリ病棟では、リハビリとともに栄養補給が行われる。

 しかし、実際には体重がさらに減少し、BMIが21.2まで下がることがある。これは「低栄養状態」を示し、筋肉量も減少することを意味する。

◆───────────────────
「回復期の入院中も、体重減少や低栄養状態が進行し、もしや食事量の不足では……」
───────────────────◆

 回復期の入院中も、体重減少や低栄養状態が進行している。そこで、もしや食事量が不足しているのではないかと(橋本会長が運営する医院で)調べてみた。まず、回復期リハビリ病棟の、入退院時のBMIの変化について。

 回復期リハビリテーション病棟協会の調査によれば、回復期リハビリテーション入院時のBMIについて「一般65歳以上」のカテゴリにおいては「普通」が64.3%と最も多く「やせ」は1割以下にとどまっている。

 ただし「やせ」というのは、単にスリムであるとか、スラリとした体型であるという意味ではない。これは栄養状態に基づく判断で「目に見えて体重が落ちている」と評価される方々を指す。

 急性期病院でBMIが18.5以下にまで下がり、低栄養状態になっている人々が23%も存在する。その患者が回復期リハビリ病棟でリハビリに励み、退院する時点で「やせ」になっている。すなわち「低栄養状態」の人々が増えている。

 これは2023年2月の報告書であり、最近の状況を反映している。次に示すのは(橋本会長が運営している)千里リハビリテーション病院の調査結果である。このデータを見ると、全体の6割から7割の患者が、入院時に比べて退院時のほうが体重が減っている。

 食事の摂取状況について調べてみた結果、73%の患者が出された食事を100%摂取している。しかし、食事を摂っているにもかかわらず体重が減っているということは、食事量が不足しているということを示唆している。

 それはまるでダイエットをしているような状態で、おそらく患者は「お腹が空いている」だろうと推測される。これにより、体重が大幅に減少してしまっている。

◆───────────────────
「体重減少(低栄養)の一因はカロリー不足で、基準栄養量が不足していると……」
───────────────────◆

 体重減少の一因は、一般的には「カロリー不足」から生じると考えられる。その「カロリー不足」には、基本的な理由が存在する。それは、基準栄養食の不足と、高齢化による摂取量自体の不足である。

 体重減少は「カロリー不足」に直結する。消費カロリーが一定で、摂取カロリーが低い場合、体重が減少するのは自然である。それでは、このカロリー不足の原因は何かと考えてみる。

低栄養の要因
 食事を摂る能力(摂食機能)があったとしても、以下の2つの要素が関わっている可能性がある=画像・日慢協BLOGより。黄色のラインマーカーは、弊紙による加工

 ■1.提供される食事の、基準栄養量が不足している=つまり、病院が十分な量を提供していないため、患者はいわば「飢餓状態」に陥っているのではないか?

 ■2.基準栄養量の食事が提供されていても、患者が全量を食べられていない=高齢であったり、体調が悪かったりすると、必要な全量を食べきることが難しくなる。

 以上の2つの要素が、体重減少の主な要因として考えられる。

◆───────────────────
「病院基準食は、リハビリや体重増に必要な栄養量を満たしていない場合がある……」
───────────────────◆

 病院基準食は、入院患者の年齢構成を加味した「食事摂取基準」を踏まえて提供されるが、リハビリや体重増に必要な栄養量を満たしていない場合がある。まず、必要な栄養量と、病院で必要とされる栄養量はどのように計算されるのか?

 そこで、病院基準食の設定を見てみる。推定エネルギー必要量とは「1日に何kcalが必要か」という基準である。男性・女性の区別に加えて、「身体活動レベル」によるカテゴリー分けがあり、それは「1」「2」「3」に分けられている。

 この身体活動レベル「1」は自宅に滞在し、ほとんど外出しない人が相当する。「2」は自立はしているが、あまり外に出ることはない人を指すが、積極的な運動をしているとは言えない。一方「3」に分類される人は運動を行っていると言えるだろう。

 75歳以上の入院患者には女性が多い。この場合、必要とされるカロリーは大体1,400 kcalから1,650 kcalである。そのため高齢女性が多い病院では、1,500から1,600 kcalの範囲で、病院基準食のカロリー設定がなされている。

 次に、回復に必要な栄養量(cal)について説明する。「1,500」というのが、病院基準食のエネルギー量である。つまり、1日に1,500 kcalのエネルギーを摂取すれば良い。

 だが、これだけでは体重が減少する傾向にある。回復期リハビリ病棟では、毎日2時間から3時間を費やしてリハビリが行われる。では、リハビリにどれぐらいのエネルギーが必要か?

 計算してみると「3メッツ」という数値が出る。これは事務仕事で消費するようなエネルギーではなく、屋外で活動的な重労働をするような場合のエネルギー消費量に相当する。

 「3メッツ」のエネルギーを消費するためには、378 kcalを確保する必要がある。すなわち、1日に2~3時間のリハビリを行うために378 kcalが必要となる。若者であろうと、80歳・90歳であろうと、必要なカロリー量は同じである。

 そして、病院の基準食エネルギーと、このリハビリを行うための消費エネルギーを合算すると、1,878 kcalが必要となる。また、急性期で体重が減少している患者さんで、特に10キロぐらい体重が減っている場合もある。

 この際には、少なくとも5キロほど体重を戻してあげることが望ましい。そのためには、体重増加を促すためのエネルギーとして、1日に233 kcalがさらに必要となる。これらを全て合計すると、必要なエネルギーは2,000 kcalとなる。

 リハビリを行いながら体重を増加させ、筋肉を付けて、ADLを上げるためには「2,000 kcalのエネルギーが必要」である。この点が、十分に理解されていない可能性がある。

 NST(=患者に最適な栄養療法を提供することを目的とした、多職種により構成された医療チーム)も介入して、リハビリ栄養を十分に意識している先生方は10年以上も前から「リハビリを行うためには高齢者でも2,000 kcal程度が必要」と指摘している。

 しかし「80歳・90歳で、小柄な高齢者がそんなに多く食べられないでしょう」という考えもある。その結果、患者はどんどん痩せてしまう。そこは見直さなければいけない。「リハビリや体重増に必要なエネルギーを、確保できているだろうか……」と。

 ※【以下、次号(本紙第159号)へ続く】

──────────────────◇

 ◆日本介護新聞・本紙(エンドユーザ─版)バックナンバー=
http://nippon-kaigo.blog.jp/
 ◆日本介護新聞「ビジネス版」バックナンバー(2022年4月分まで)=
http://nippon-kaigo-b.blog.jp/
 ◆ホームページ=http://n-kaigo.wixsite.com/kaigo
 ◆Twitter=https://twitter.com/Nippon_Kaigo
 ◆Facebook=https://www.facebook.com/nipponkaigo/

(C)2023 日本介護新聞

*最適な介護を、自分で選ぶための情報紙*
┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌日本介護新聞┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌
*****令和5年4月30日(日)第157号*****

◆◇◆◆◆─────────────
今後、どのような状態になれば「コロナは収束した」と思えるようになるのか?
─────────────◆◇◇◆◆

◇─[はじめに]─────────

 新型コロナの感染症法上の位置づけが、この大型連休明けの5月8日から、インフルエンザと同等の「5類」に移行します。その一方で、東京都内の新規感染者数は「増加傾向」をみせています。

 テレビ等のニュースでは、海外に出国する人が空港のカウンターに大行列をつくって順番待ちをしていたり、スポーツの試合でも会場に大勢のファンが詰めかけ、大声を出して選手を応援しています。

 弊紙発行人は東京の郊外に居住しておりますが、スーパーマーケットに買い物にいった際には、マスクを外している人の数が着実に増えていることを実感します。これらの「流れ」はもはや「逆戻り」することはないでしょう。

 今後、新型コロナの新規感染者数が減少して、専門家による「収束」宣言が出されれば良いのですが現実には、多くの専門家が「例えば東京では、5月上旬から中旬にかけて、新規感染者数の増加がピークを迎える」等と予測しています。

 いずれにせよ、今後は新型コロナの感染に対して、マスクの着用をはじめとして「個人の判断」で対応しなければならなくなります。しかし「個人の判断」と言っても、現実には各個人によって、考え方に「大きな幅」があります。

 これを踏まえ東京都では、新型コロナ対策の司令塔を担う組織「東京iCDC」が先月、20代から70代の都民35人に対し、インタビューを行いました。内容は、これまでのコロナ渦の生活をどのように感じ、何をもって「収束した」と受け止めるか――等です。

 弊紙発行人は、今後のコロナの感染防止対策に対して、介護サービスを受ける高齢者を中心とした「慎重派」と、若者を中心とした「楽観派」に分かれるのではないかと推測していました。

 今回のインタビューの結果をみると、全体的に「慎重」な考えを持つ人が多いのではないか、と実感しました。そこで今回の本紙では、読者の皆さんが今後の「個人の判断」を下すための参考にすべく、インタビューの内容をご紹介することにいたしました。

 今回の記事が今後の、皆さんの「行動基準」を決定する際のご参考になればと思います。どうか最後まで、ご一読頂けますと幸いです。

 日本介護新聞発行人

──────────────────◇

 今回の記事は「東京iCDC」が3月に実施した、グループインタビューの調査結果で、弊紙が着目した点を取り上げて、ご紹介いたします。インタビューの概要は、次の通りです。

 ◇調査方法=グループインタビュー(120分)
 ◇実施場所=都内のインタビュールーム
 ◇調査対象=東京都に住所を有する20代から70代までの35人(6名×6グループ=本来は36人だが、1人欠席して35人)
 ◇グループ設定条件=性別・年齢層・居住地・コロナ感染経験などに偏りがないように設定
 ◇調査期間=今年(2023年)3月8日(水)~3月11日(土)
 ◆インタビュー項目
 ▼「新型コロナ流行による影響」は?
 ▼「新型コロナの収束」「コロナ共生のイメージ」とは?
 ▼「今後、行政から発信してほしい情報」「 行政に取り組んでほしいこと」は何か?

◆───────────────────
結論=「コロナの収束は、人々の気持ちの落ち着きによってもたらされる」
───────────────────◆

 「東京iCDC」は、今回の「まとめ」として、次の4点を指摘しました。なお「結論2」「結論3」の内容はインタビューとは別に、都民に対して「東京iCDC」が実施したアンケート調査の結果を含んでいます。

 ■結論1.コロナ流⾏によって、都民のくらしにはポジティブ、ネガティブの両面で様々な影響があった。

 ■結論2.コロナ陽性との判定を経験した人の4人に1人は、後遺症を疑う症状があった。そのうちの多くの人は後遺症による⽇常生活への支障があったと回答し、仕事(学業)を休んだ人もいる。

 ■結論3.今後の流⾏によって感染し、医療を受ける可能性について、回答者の多くは認識している。そして「今後はどのように医療を受けるのか」「どのくらいの医療費がかかるのか」について漠然とした不安を抱えている。

 ■結論4.収束についての捉え方は様々であるが「医療提供体制の進展だけではなく、人々の気持ちの落ち着きによってもたらされる」という考え方も示された。

◆───────────────────
新型コロナ流行による影響=ポジティブ・ネガティブの両面から、多角的な意見が……
───────────────────◆

 まず、コロナが流行したことによって、経済面・生活・社会活動・教育などの面で、「どのような影響と変化があったのか?」を尋ねました。これには「ポジティブ(肯定的・積極的)」と「ネガティブ(否定的・消極的)」の両方の意見が出されました。

 「ネガティブ」な影響としては「旅行や遊びに行けなくなった」「人との交流が減った」といった、外出自粛や人との接触を減らすこと等にともなう影響についての意見が多く聞かれました。

 また、医療機関や高齢者施設の面会制限による影響、教育環境の悪化の深刻さについての声もありました。一方「ポジティブ」な影響としては「テレワークで勤務環境が良くなった」

 「ネットでの楽しみが増えた」など、オンラインの活用・普及による変化についての意見が聞かれました。具体的には次の通りです。この中で「▼印」は、高齢者や介護サービスに関係する事項です。

 ■■ネガティブな影響■■

 ■【旅行や遊びに行けなくなった=9名】
 「家族で海外旅行に行っていたので、それができなくなったのはストレス」(20代女性)
 「父も高齢で、いろいろなところに行けないのはかわいそう」(50代女性)

 ■【人との交流が減った、外食ができない=10名】
 「中学の同級生と2ヶ月に1回くらい会っていたが、全く出来なくなった」(60代女性)
 「毎月勉強会をやっていて、社外の人との横のつながりがあったが、その勉強会がなくなった」(50代男性)

 ■【入院した人に会えなかった、看取れなかった=3名】
 「自分が入院しているときに、家族が荷物を持ってきてくれているのに会話も出来ない」(30代女性)
 「親戚がコロナとは違う病気でなくなった。ワクチンの(接種の)前だったので、看取れなかった」(40代女性)

 ■【教育環境が悪化した=5名】
 「2020年の4月から大学に入学。東京に来て、キャンパスライフも出来ないし、人とも会えない」(20代男性)
 「孫が小学校6年で卒業式もなく、中学の入学式もクラブ活動もなくて、楽しい生活を送れたはずなのにかわいそうだった」(70代女性)

 □□ポジティブな影響□□

 □【テレワーク推進で勤務環境が良くなった=8名】
 「会社でリモートワークを推進してくれた。そんなのは全く無かった会社なので、会社が進んでいった」(40代女性)
 「コロナになって、働き方がかなり違った。テレワークとかZoomのような、ウエブ会議のツールがかなり普及した」(50代男性)

 □【テレワークで通勤がなくなった=4名】
 「仕事もテレワークが出来るようになって、通勤の時間を寝る時間にあてられるようになった」(30代男性)
 「幸いなことに、2020年の3月から在宅になった。通勤のストレスが減った」(60代男性)

 □【ネットでの楽しみが増えた=4名】
 「足が悪くて家にいるが、家にいる辛さが分かる人とかSNSで繋がる人が増えて、ネットでの出会いが増えたのが良かった」(30代女性)
 「ネットでテイクアウトをしたり、ネット動画を新しく契約したり、家にいて色々な時間の使い方が出来るようになった」(20代男性)

 □【飲み会などの嫌な付き合いが減った=2名】
 「会社の忘年会とか飲み会とか『絶対出席』と言われているものが⼀切なくなった。残業もしないで『早く帰っていい』とか、職場での強制的なストレスがすごく減った」(40代女性)

◆───────────────────
新型コロナの収束=「終わってはないが、すでに収まっているとは思う」との意見も…
───────────────────◆

 新型コロナの感染は、今後もある程度続いていくと思われますが、それではどのような状況になったら「収束した」と思えるのか? それから「コロナと共生」にどのようなイメージを抱いているのか尋ねました。

「コロナはすでに収束している」
 この結果「コロナの収束」や「コロナと共生」のイメージは人によって異なり、なかには「すでに収束している」と考える人もいました=画像・東京都HPより。「収束や共生の条件」としては、感染者数の低下や治療薬の進歩、どの医療機関でも受けられる環境等が挙げられました。

 さらに「人々の気持ちの落ち着きがもたらすもの」との受け止めもありました。具体的には次の通りです。前項と同様に「▼印」は、高齢者や介護サービスに関係する事項です。

 ■【インフルエンザと同じような感覚で捉えられるようになったら=9名】
 「インフルエンザ並み、普通の風邪並みになったら収束。季節の風邪と⼀緒で、毎年これから延々と続いていくと思う」(70代男性)
 「インフルエンザと同じ感覚で、みんなが⾏動するようになったら元通りになったなと思う」(50代男性)

 ■【感染しても、普通のことと思えるようになったら=3名】
 「ふつうに『コロナにかかっちゃった』と言えるようになったら、特別なことではなくなる」(60代女性)
 「誰でもかかる、みんながかかる、かかる人が多くなる、かかって当たり前という状況になったら」(50代女性)

 ■【病院で、他の病気と同じように診てもらえるようになったら、病院がひっ迫しなくなったら=5名】
 「病院で、ふつうに診察してもらえるようになったらコロナも特有のものではなくて、ふつうの病気の一つとして診てもらえる」(30代男性)
 「介護施設も含めて、医療機関(に関する様々な制限等)が緩和されて『医療機関や現場が普通に動き出すこと』が、ある程度目安になると思う」(60代女性)

 ■【治療薬が普及したら=7名】
 「治療薬が市販化されて、風邪薬と同じくらいの価格で買えたら。病院で処方箋を出してもらわないと買えないのではなくて」(40代男性)
 「薬が出たら。インフルエンザの薬は普通のクリニックでも処方してもらえるので、普通の病気の感じで医療が受けられると収束かな」(30代女性)

 ■【感染者が十分に減ったら=3名】
 「ニュースを見ていて、重症者数とか死亡者数が明らかに減ってきたら」(50代女性)
 「感染者数が1ケタになったら収束かな。ゼロという訳にはいかないと思うけれど」(60代女性)

 ■【報道されなくなったら=1名】
 「テレビで、毎日のように感染者数が発表されることがなくなったら。今も夕方に毎日やっているが、それがなくなったら収束」(20代男性)

 ■【すでに収束・共生している状況だと思う=4名】
 「もう収束していると思う。新規感染者が減っているし2類から5類になると決まったから、それを考えると『終わってはないが、収まっている』とは思う」(60代男性)
 「自分の中では『収束している』と思っている。重症化率が極端に低いから。かかっても普通の風邪くらいのものの方がほとんどだから」(40代男性)

◆───────────────────
行政から発信してほしい情報=「感染者の報告を止めた途端に大変なことになるのでは」
───────────────────◆

 最後に「今後、行政から発信してほしい情報、行政に取り組んでほしいことは何ですか?」と尋ねました。これには感染者数について、目安となるような情報(増減の傾向など)を求める声が上がりました。

 また、感染時の対応(連絡先、受診先など)に関する情報の提供継続の希望もありました。さらに「個人に対してだけなく、事業主や病院、学校に対する情報発信をしてほしい」

 「医療体制の整備を含めて、今回の経験を今後に活かしてほしい」との声が聞かれました。具体的には次の通りです。この項目も同様に「▼印」は、高齢者や介護サービスに関係する事項です。

 ■【感染者数の公表は続けてほしい=5名】
 「数が増えてくれば、どういう『株』かも検査をするだろうし、数字はある程度追って欲しい。何千人台とか、アバウトでも『増えてきた』と⾔ってくれたら、また気をつけ始めると思う」(40代⼥性)

 「感染者情報の報告は、毎日して欲しい。これは続けてくれないと、なくなったら何を頼りにしたらいいか分からない。(感染者の報告を)切った途端に、大変なことになりそう」(60代男性)

 ■【感染した際にどうするか受診できる病院の情報=7名】
 「ワクチンの情報と病院の情報」(70代男性)
 「かかったという予感がしたときに、どこに連絡をすればいいのか。医者に⾏く前にどう対処すればいいのか」(70代男性)

 ■【事業主や病院、学校に対しての情報発信信=3名】
 「⼀般市⺠に対してより、事業主とか病院側にアピールしてほしい。⼀企業で判断は難しい。指標を指し示してくれたら、企業も動きやすいと思う」(30代男性)
 「学校関係。子どもがいるので『安全ですよ』と⾔う情報を、教育現場から真っ先に周知できるようにして欲しい」(50代男性)

 ■【ワクチン費用・治療費用の支援=11名】
 「ワクチンも無料じゃないと打たない人はいると思うので、高齢者は無料で打てるといい」(60代女性)
 「医療費は、補助してもらうとありがたい。それも年代によって。高齢者とか基礎疾患のある方には手厚い補助が欲しい」(60代女性)

 ■【病院での対応を整備=7名】
 「(これまでのコロナ対応で)医療機関の連携や、他の病気でも『たらい回し』になっていたが、それが生じないようなシステムは継続してもらいたい」(30代男性)
 「今、コロナは特別な病院でしか受け入れていないが、これからは普通の病院でも受け入れてくれる体制ができれば安心だ」(40代男性)

 ■【経験を今後に活かす=4名】
 「新型コロナで検討したり、やったことを風化させないで欲しい。今後もこういうのは出ると思うので、今回の経験をベースにやって欲しい」(30代男性)
 「今後、このくらいの感染症が広がることもあるかも知れない。これで対応を風化させないで、この対策を同じ様なことのために活かして欲しい」(50代女性)

◇─[おわりに]───────────

 今回出された様々な意見の中で、弊紙が最も印象に残ったのは「もう収束していると思う。新規感染者が減っているし2類から5類になると決まったから、それを考えると『終わってはないが、収まっている』とは思う」(60代男性)との指摘です。

 これを弊紙流に解釈すると「コロナはまだ終わっていない。しかし、政府が『5類にする』と言っているのだから、今後は全て『コロナは収まっている』ことを前提として、各個人は対応していかねばならない」になります。

 特に今後、5月中旬にかけて「ピークが来る」と予測されている新規感染者数の増加の時期には、政府は「収まっている」ことにこだわらず、場合によっては早急に「収まっていない」との認識に改め、必要な対策を迅速に実施する覚悟が求められます。

 この「判断」が遅ければ遅いほど、最も被害を被るのは高齢者の方々です。この点を踏まえ、弊紙は今後も「個人の判断」を下すのに有益な情報を、読者の皆さんへできるだけ早く配信して参ります。

──────────────────◇

 ◆日本介護新聞・本紙(エンドユーザ─版)バックナンバー=
http://nippon-kaigo.blog.jp/
 ◆日本介護新聞「ビジネス版」バックナンバー(2022年4月分まで)=
http://nippon-kaigo-b.blog.jp/
 ◆ホームページ=http://n-kaigo.wixsite.com/kaigo
 ◆Twitter=https://twitter.com/Nippon_Kaigo
 ◆Facebook=https://www.facebook.com/nipponkaigo/

(C)2023 日本介護新聞

*最適な介護を、自分で選ぶための情報紙*
┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌日本介護新聞┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌
*****令和5年3月19日(日)第156号*****

◆◇◆◆◆─────────────
コロナが「5類」となる5月8日以降、介護サービス利用者はどのような対応をすべきか?
─────────────◆◇◇◆◆

◇─[はじめに]─────────

 先月配信した本紙前号では「3月13日以降、マスク着用は『個人の判断が基本』だが『本当にマスクを外して大丈夫?』」と題した記事をお届けましました。そして先週月曜(3月13日)から、ついに「個人の判断」に委ねられることになりました。

 この「マスク着用のルール」(=3月13日以前は、屋内では原則着用、屋外では原則不要)の変更は、新型コロナの感染症上の位置づけが5月8日から「5類」へ移行することに伴い、学校等での卒業シーズンに備えて、先行する形で実施されたものです。

 5月8日からは、いよいよ本格的に、新型コロナウイルスは季節性インフルエンザと「同等」となります。これに伴い、介護業界ではどのように対応して、介護サービス利用者はどのような影響を受けるのか……?

本紙画像 この点に対して、3月8日に開催された厚労省の専門家会議で、日本を代表する感染症の専門家等が連名で「医療機関と高齢者施設における、新型コロナウイルス対策についての見解~感染症法上の類型変更を見据えて~」を公表しました=画像・厚労省HPより。黄色のラインマーカーは、弊紙による加工

 ここでは5月8日以降「高齢者施設ではどのように対応すれば良いのか?」を、5つのQ&Aで示しています。これは、基本的には介護事業者向けの「考え方」を示したものですが、本紙の主な読者層である介護サービス利用者にとっても参考になる内容です。

 そこで本紙では「介護業界では5月8日以降、どのように対応すべきなのか?」「介護サービス利用者は5月8日以降、どのような点に留意すべきなのか?」を、読者の皆さんが考える際の参考にして頂きたいと思い、この内容を取り上げることにいたしました。

 感染症の専門家等が、介護業界に対してどのようなメッセージを発信しているのか……。どうか最後まで、ご一読頂ければ幸いです。

 日本介護新聞発行人

──────────────────◇

 「はじめに」にも記したように、今回の記事は厚労省の専門家会議が3月8日に発表した「医療機関と高齢者施設における新型コロナウイルス対策についての見解~感染症法上の類型変更を見据えて~」の中で、介護業界に関係する部分のみご紹介いたします。

 内容の一部は、本紙の読者の皆さんにも理解しやすいように、弊紙で簡易な表現に改めた部分がありますので、この点をご了承の上、以下の記事をお読み頂ければ幸いです。内容は「前置き」と、5つの「Q&A」で構成いたします。

◆───────────────────
前置き=「コロナ対策は一部に混乱が生じていたり、過剰に行われたりする事例が…」
───────────────────◆

 新型コロナウイルス感染症の発生から約3年が経過し、ウイルスの特性については多くのことが明らかになっている。

 医療機関や高齢者施設における感染対策についても、手指衛生などの標準的な予防策に加えて、マスクを適切に着用することや、十分な換気を行うことの有効性などが明らかとなっている。

 ただし、入院患者への面会制限や職員に対する行動制限、あるいはスクリーニング検査の実施範囲などにおいて、一部に混乱が生じていたり、過剰に行われたりすることがあるようだ。

 今年の5月、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へと変更される予定となっている。しかし位置づけが変更された後も、一定の流行が繰り返されることが想定される。

 このため、入院患者や高齢者など、重症化リスクの高い人たちが集まる医療機関や高齢者施設においては、施設内において感染が拡がらないよう対策を続けていくことが求められる。

 ただし、地域における医療・介護資源は限られている。医療や介護のニーズ全体に応えていくためには、施設ごとに様々な工夫を行いながら、効果的かつ持続可能な感染対策を見出していかなければならない。

 患者や利用者の側も、できるだけ(高齢者施設や医療機関の)対策に協力し、かつ現実を踏まえて「完璧さ」を求め過ぎないことも必要だ。また高齢者など重症化リスクの高い方々は、ワクチン接種を最新の状態に保つことで、日頃より感染によるリスクや感染を拡げるリスクを低減させておくことが重要だ。

 そして、医師が常駐しない高齢者施設においては、発症後の診断や治療の遅れが生じないよう、前もって嘱託医師あるいは近隣医療機関と相談しておくことも大切だ。

 この見解は、医療機関や高齢者施設における対策のうち、とくに疑問が生じやすい場面を想定して、医療や福祉、倫理など多分野の専門家の検討のもとに考え方のフレーム(背景や枠組み)を提供するものだ。

 それぞれの施設においては、個々の状況に基づいて最終的に判断するようにして頂きたい。また、施設内における集団感染の発生時には、速やかに保健所へ連絡するとともに、その指導に従うようにして頂きたい。

◆───────────────────
「デイサービスはウイルスが持ち込まれやすい。できるだけマスクを着用するよう…」
───────────────────◆

 ▼Q1=医療機関や高齢者施設において、日常的にマスクを着用する必要があるか?

 ▽A1=はい。高齢者施設の職員等は、サージカルマスクを着用することが望ましいです。今年(2023年)2月の時点で、全国のほとんどの地域で感染者の報告が認められており、日本国内では流行が持続している状況にあります。

 このため、基礎疾患を有する方や高齢者など重症化リスクの高い方々が集まる場所で、感染拡大のリスクを減らしていくためには、マスク着用に協力頂くことが望ましいです。

 特に、生活の場が異なる方々が集まる外来診療の待合室やデイサービスなどでは、ウイルスが持ち込まれやすくなっています。できるだけマスクを着用するよう、その場にいる方々に促してください。

 一方、個室や個人のベッド上など公共性の低い場所では、入院患者や入居者はマスクを外して過ごすことができます。また、利用者の出入りの少ない入居施設では、共用スペースであってもマスクを外して過ごすことは考えられます。

 ただし、医療・介護従事者は常にマスクを着用して業務にあたるようにして下さい。なお医療・介護従事者であっても、周囲に人がいない場面など「マスクの着用が必要ない」と考えられる場面については、各施設の管理者が判断をすることができます。

 なお、認知症や基礎疾患の状態などにより、マスクを継続して着用することが困難な方がいらっしゃいます。これらの方々には体調管理により留意しながら、マスク着用を強要しないようにしてください。

◆───────────────────
「高齢者施設は、訪問者の面会を許可することができる。施設側は配慮と工夫を……」
───────────────────◆

 ▼Q2=医療機関や高齢者施設において、訪問者の面会を許可することができるか?

 ▽A2=はい、許可することができます。施設内への感染症の持ち込みは極力防ぐべきですが、患者や高齢者の面会を制限することにより、身体的・心理的・社会的な衰えをもたらす可能性についても配慮する必要があります。

 ただし、地域における流行状況によっては、例えば感染対策を守ることが難しい子どもの直接の面会に、条件を課すことは考えられます。オンライン画面を活用するなど、面会方法を工夫しながら実現することも検討してください。

 施設では、訪問者を受け入れるにあたって、訪問者に発熱や咳嗽(=がいそう。「せき」のこと)などの症状がないことを確認してください。そして、訪問者は、施設内ではマスクを常に着用し、決められた場所でのみ面会して下さい。

 また面会者等は、施設が求める感染対策を遵守することで、できるだけ施設内へとウイルスを持ち込まないよう協力してください。なお、居住型施設などのプライベートな室内では、別な対応が考えられます。

 例えば、訪問者がマスクを外して入居者と食事をしたり、孫を抱くなど触れ合ったりすることが考えられます。こうした面会の在り方については、地域における流行状況を考慮しながら、施設として過度な制限をかけないよう配慮してください。

◆───────────────────
「高齢者施設で感染者が確認された場合でも、フロア全体のゾーニングは必要ない…」
───────────────────◆

 ▼Q3=医療機関や高齢者施設で感染者を認めた場合には、フロア全体のゾーニング(=ある空間を「区分け」すること)が必要か?

 ▽A3=基本的には必要ありません。ただし、フロア全体に感染が拡がっている場合には、確定している感染者のみの「専用フロア」として運用することも考えられます。

 通常は、病室単位のゾーニング(例えば、室内をレッド、ドア周囲をイエロー、ドアの外をグリーンとする)や、陰圧室(※)である必要はありませんが、感染者のいる病室からエアロゾル(※)が廊下に流出しないよう、ドアを閉じておくことが必要です。

 また、病室の機械換気において、排気が給気よりも多くなるように工夫します。

 【※弊紙注=陰圧室=陰圧感染隔離室のこと。室内の気圧を室外よりも低くすることで、ウィルス等で汚染された可能性のある空気を室外に逃さないようにして、感染症の拡大を防止する】

 【※弊紙注=エアロゾル=気体中に浮遊する微小な液体、または固体の粒子と周囲の気体の混合体】

◆───────────────────
「施設職員に対する定期的な検査は感染のリスクを減らすが、感染対策は代替しない」
───────────────────◆

 ▼Q4=高齢者施設の職員を対象として、定期的な検査を実施する必要があるのか?

 ▽A4=職員の感染を早期に発見し、施設内での感染拡大を防止するため、行政からの支援や要請がある場合には、職員に対する定期的な検査を継続することは考えられます。

 ただし、地域における流行規模が小さい状況のほか、ワクチン接種を含めた施設内感染対策が徹底できている場合、職員が体調不良時に、速やかに仕事を休める就労環境が確立できている場合などでは、定期的に検査を行う意義は小さくなります。

 職員に対する定期的な検査は、施設内感染のリスクを減らしますが、基本的な感染対策を代替するものとはなりません。実施すべきかについて、一律に決定することはできないため、施設ごとに補完的な対策として総合的に判断してください。

◆───────────────────
「入所者に感染を確認した場合の治療方針は、介護従事者のみで判断せず医師等に…」
───────────────────◆

 ▼Q5=入所者に感染を確認した場合には、すべてに抗ウイルス薬を投与すべきか?

 ▽A5=軽症例の大半は自然治癒するため、一律に抗ウイルス薬を投与する必要はありません。ただし、基礎疾患を有する方やワクチン未接種者など重症化リスクが高い人、重症化の兆候を認める人には、個別に薬物治療の適応を判断することになります。

 これらの治療方針については、介護従事者のみで判断することはできません。かかりつけ医や嘱託医などの判断を速やかに求めるようにしてください。必要な治療の遅れが生じないよう、相談体制を含めて、事前に医師と話し合っておく必要があります。

◇─[おわりに]─────────

 今回ご紹介した、厚労省専門家会議のメンバーの提言で、弊紙が最も注目したのは「位置づけが変更された後でも、コロナでは一定の流行が繰り返されると想定される」という点です。

 新型コロナの感染症法上の位置づけが、インフルエンザ等と「同等」となっても、やはり「特別な配慮」は必要であり続けると思われます。一方で専門家は「過剰な感染防止対応策にはならないように」とも指摘しています。

 その「加減」は非常に難しいと思われますが、今後の対策については、介護サービスを利用する側も、介護事業所に対して「このようにすべきではないか?」と提言していくことも必要と思われます。

 いまだかつて、誰も経験したことのない「新たな感染防止対策」を構築するため、介護サービスの利用者側も「声をあげていくべき」だと、弊紙では考えます。

──────────────────◇

 ◆日本介護新聞・本紙(エンドユーザ─版)バックナンバー=
 ◆日本介護新聞「ビジネス版」バックナンバー(2022年4月分まで)=
 ◆ホームページ=http://n-kaigo.wixsite.com/kaigo

(C)2023 日本介護新聞

↑このページのトップヘ