日本介護新聞バックナンバー

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*****令和3年4月26日(月)第130号*****

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感染症の専門家が、施設内の感染対策案を提言「わかっていること、わかっていないこと」
─────────────◆◇◇◆◆

◇─[はじめに]─────────

 新型コロナの感染が始まった当初、テレビの情報番組であるコメンテーターが「感染者が発生した周辺は、早急に、全員に検査をすべきではないか?」と発言したところ、ある医師は「むやみやたらに検査をしても、意味がない」と指摘していました。

 この当時はまだ「第1波」の前で、現在の「第4波」とは状況が全く異なっていますが、結果的にみれば、コメンテーターの発言の方が、医師の指摘よりも正しかったのでは……と、今さらながら思えます。

 新型コロナは、その名称通り「新しい型」のウイルスであるため、その対策も「未知の分野」となり、医師ですら「正解」を出すのは難しいと言えます。そして「第4波」の今となっても、感染症の専門家ですら「わからない」ことが多くあるようです。

 感染症の専門家で組織する日本感染症学会は、会員を対象に「施設内感染」のアンケート調査を行い、その結果を「COVID-19施設内感染アンケート調査を踏まえた施設内感染対策案 ─わかっていること、わかっていないことー」として、3月29日に公表しました。

 これを見て「実は、こんなことがまだ『わかっていない』んだ」と、驚いた点が多くあった半面、この結果を広く会員に周知することで、病院や施設をクラスターから守るための方策を導きだそうとする、専門家の真摯(しんし)な姿勢も痛感しました。
 
 そこで今回、弊紙ではこのアンケート結果の中から、介護施設の感染対策としても役立つと思われる項目を集め、記事にいたしました。専門家の指摘や「わかっていること、わかっていないこと」を知ることで、読者の皆さんの感染対策の一助になればと思います。

 日本介護新聞発行人

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日本感染症学会・わかっていないこと この「施設内感染アンケート調査」は、263施設を対象とし、この中で実際に施設内伝播(=感染拡大)を経験した42施設の回答を、主にまとめたものです=画像・日本感染症学会HPより。赤色のアンダーラインは、弊紙による加工。内容は、病床が500床以上の施設が40・5%を占めています。

 また、新型コロナ患者の入院管理を行っている施設が78・6%と、中~大規模の、地域の中核病院が大半でした。これらの病院では、新型コロナに対する基本的な院内感染対策のマニュアルの整備や教育などは、ほぼ全ての施設で実施されていました。

 これらの内容を前提として、日本感染症学会では調査結果を、次の3項目にまとめています。

 1.「施設内感染アンケート調査」の結果から、考察されること
 2.施設内でクラスターが発生した時に、推奨される対応策
 3.施設内クラスター発生時の対応で「わかっていないこと・これから解決すべきこと」

◆───────────────────
1.「施設内感染アンケート調査」の結果から、考察されること
───────────────────◆

 ●施設内の感染拡大を経験している施設は、新型コロナ患者の入院管理を行い、感染対策マニュアルをすでに整備している施設が多いことから、マニュアル内容の見直し(クラスター発生時の対応が含まれているかなど)や、定期的なチェックが必要である。
 
 ●施設内で感染が拡大した事例で、感染したのは医師・看護師・患者が大半であり、日頃からの症状のサーベイランス(=注意深く監視するという意味)が重要である。
 
 ●感染経路の大半は職員間、患者間、職員─患者間であり、濃厚接触者でなくとも感染が拡大した事例があることから、接触者でも、濃厚接触者と同等の対応が必要である。また誰が発症しても、濃厚接触者とならないような対策が必要である。

 ●最初の感染者を覚知(悟り知ること)後、即日に感染対策を実施している施設は半数にも満たない。新型コロナの特性から、最初の感染者を覚知した段階で、すでに感染が広がっている可能性がある。

 ●このため、事前に「初動」をシミュレーションしておくとともに、施設内で最初の感染者を覚知した時点で「迅速な対応」が必要である。

 ●施設内の感染拡大を覚知した後、新型コロナの感染症検査は、無症状の接触者(職員・患者とも)に実施している施設が大半であり、無症状感染者がいることや、潜伏期間を考慮すると、濃厚接触者に限らず、広く接触者を検査の対象とするべき。

◆───────────────────
2.施設内でクラスターが発生した時に、推奨される対応策
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 【事前準備】

 ▼どの患者・職員から感染者が出たとしても、それ以外が濃厚接触者とならないように、職員・患者ともに手指衛生やサージカルマスク(=主に医療現場・医療用に使用されるマスク)着用を徹底する。職員は食事の個食を徹底し、食器やリネンなどの共有を避ける。

 ▼施設内の新型コロナ感染対策マニュアルを策定し、これが遵守できているか、定期的に確認する。また、入院患者・職員が発症した場合の初動体制(隔離・ゾーニング・診療体制)の構築と、シミュレーションを行う。特に、個人用防護具の着脱訓練等が重要。

 ▼アルコール手指消毒剤や、個人用防護具の確保のため、使用状況や在庫の定期的な点検を行う。また、地域で新型コロナの感染が流行した際は、ハイリスク患者(新たに入院する肺炎患者・全身麻酔患者等)のスクリーニング検査を実施する。
 
 【クラスターが発生した場合の対応】
 
 ▼平日・休日・夜間に関わらず、感染の事例を覚知した後、直ちに疫学調査を行い、対応策を検討する。施設内に「対策本部」を設置し、感染防止策の再確認や強化、院内での情報共有、保健所と密に連携を取りつつ、日々の方針を決定する。

 ▼感染者・疑似症患者・濃厚接触者・非接触者のゾーニングと、スタッフの区分けを行う。新型コロナの感染症検査(PCR検査や抗原定量検査)は、濃厚接触者に限定せず、感染者が発症した少なくとも2日前から接触した職員・患者に対し、広く積極的に実施する。

 ▼感染者が出た病棟に関して、患者の部屋移動・病棟移動・転院を制限する。また感染者が出た病棟で、患者が検査などで病棟外へ出ることについて、慎重に検討する。

 ▼濃厚接触となる職員は休務とし、他部署からの支援を検討する。また支援する職員はクラスター収束まで元の部署に戻らない。最終発症者(職員・患者とも)が出た日を「ゼロ」とし、そこから少なくとも14日間は発症者が出ていないことを確認する。

 ▼その後に、クラスターの収束の検討を行う。また収束までに少なくとも2回は、全接触者に新型コロナの感染症検査(PCR検査や抗原定量検査)が行われていることが望ましい。そしてクラスター発症要因の解析と、再発防止対策を実施する。

◆───────────────────
3.施設内クラスター発生時の対応で「わかっていないこと・これから解決すべきこと」
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 ◆外来診療、リハビリ外来、外来透析、新規入院診療を、どの程度停止すべきか? 停止した場合は、いつまで停止とすべきか?

 ◆施設内で、感染者が出た場合に行う新型コロナの感染症検査(PCR検査や抗原定量検査)の実施範囲と頻度は、どのように設定したら良いか?

 ◆施設内で感染者が出た場合、大部屋の患者は曝露(ばくろ=さらされること)のリスクが一律ではないが、個室管理ができない際の感染対策をどのようにするか?

 ◆感染者が出た病棟の看護職員を全員、一定期間休務とすることにより、クラスター収束までの期間は短縮するか?

 ◆そもそも、クラスター収束の定義とは?

 ◆クラスター発生時に職員は、勤務中にサージカルマスクに加えてアイシールド(もしくはフェイスシールド)を着用すべきか?

 ◆人員不足や夜勤帯などで、ゾーンごとのスタッフの区分けができない場合はどうするのか?(=何を優先すべきか?)

 ◆地域での、流行のフェーズ(=段階・局面)の考え方における、具体的な指標は何か?

 ◆入院時のスクリーニングとして、新型コロナの感染症検査を行うべきか? また、どのようなフェーズで検査を行うべきか?

 ◆施設状況やフェーズに応じた、職員の定期的なスクリーニング検査を行うべきか?

 ◆クラスター発生時の、職員以外(業者等)の立ち入りをどこまで制限すべきか?

 ◆地域連携病院における、感染者の情報共有をどこまで行うべきか?

 【新型コロナのワクチン接種に関すること】

 ◆ワクチンを接種していれば、濃厚接触者とならないのか?

 ◆ワクチン接種者は、感染対策をどこまで行うべきか?

 ◆職員や入院患者のワクチン接種状況が、クラスター発生にどう影響するか?

◇─[おわりに]─────────

 最後の項目【新型コロナのワクチン接種に関すること】は、一般の人からの質問ではなく、感染症の専門家が「実際にクラスターを体験した施設」の回答を分析して「わかっていないこと・これから解決すべきこと」として挙げています。

 今、高齢者に対して実施されているワクチン接種は「感染対策の切り札」と言われていますが、実はまだまだ、わからないことが多くありそうです。それでも現状では、ワクチンを接種することが「重症化防止の切り札」であることは、間違いないようです。

 加えて、ワクチン接種の有無に関わらず、手指消毒やマスク着用、3密を回避すること等の「基本的な感染対策」を徹底することが当面、私たちにとっての「感染対策の切り札」になりそうです。

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*****令和3年3月30日(火)第129号*****

◆◇◆◆◆─────────────
これまで、介護施設のクラスターは、どのようにして起きたのか?
─────────────◆◇◇◆◆

◇─[はじめに]─────────

 ここ数日の一般マスコミの報道を見ていますと、新型コロナ感染の「再拡大」の傾向は今後も続きそうな状況です。その中でも介護施設でのクラスターは、相変わらず続発しているようです。

 対策のため厚生労働省は3月9日、これまで実際にクラスターが発生した介護施設の中から今後の対応の参考になる事例について、その発生状況や内容に加え、同様の事例が起こった場合の対応策の例や学び等を「事例集」としてまとめ、公開しました=画像はその一部

クラスター発生の事例集 これを弊紙では、3月9日付けのビジネス版で、その対応策の要点のみをまとめて報じましたが、本紙エンドユーザ─版の読者にとって、最も気になる点は「なぜ、介護施設でクラスターは起きたのか?」「どうすれば、防げたのか?」になると思います。

 そこで本紙では今回、この「事例集」で挙げられている3つ事例の内容を「なぜ、介護施設でクラスターは起きたのか?」の視点から、記事としてまとめ直してみました。今後、起きて欲しくない「第4波」に備えるためにも、読者の皆様のご参考になれば幸いです。

 日本介護新聞発行人

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◆───────────────────
1.施設職員が感染したことで、人員不足に加え、引継ぎができずにクラスターに……
───────────────────◆

 ▼1人の施設職員が、新型コロナウイルスに感染した。同僚の職員も濃厚接触者として自宅待機になったことで、通常勤務ができる職員が激減した。施設側は慌てて勤務のシフトを組み直すが、個々の負担が増加したことで職員が疲弊してしまった。

 ▼さらに風評被害を恐れて、出勤を拒否する職員も出てきた。その上、職員の離職により人員不足が発生した。同一法人内の、他の施設が応援職員を派遣したが、応援側は現場に駆け付けたものの、日常の業務の手順が全くわからなかった。

 ▼また応援を受ける側も、職員不足により応援職員への業務の引継ぎが困難になった。加えて応援を受けた側も「何を依頼すべきか」がわからず、応援側と受ける側の双方の連携が、困難な状況に陥った。

 ▼そのため、もともと施設にいた職員の負担がさらに増加してしまい、職員のさらなる離職を招く危機に瀕した。

 ■【この事例の対応策1】平時から、感染症流行時を想定した施設内の職員体制の確保が必要。また、職員が必要な休養が取れるように管理者が配慮し、悩みを持つ職員のための相談体制の構築が必要。

 ■【この事例の対応策2】同一法人内で、平時からの応援体制を確保し、応援職員に依頼する内容を事前にまとめておく。このため受け入れ側は平時から、応援職員を受け入れた際のシミュレーションを実施する。

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2.感染疑いがある入所者を個室へ隔離、だが職員間で情報共有されずクラスターに……
───────────────────◆

 ▼高齢者施設の入居者・Aさんが、併設の通所サービス利用時に発熱がみられたが、時間をおいて再検査したところ平熱に下がっていた。そのためAさんは、通所サービスの利用を継続した。

 ▼後日、Aさんは医療機関を受診し、新型コロナの感染症は否定されたものの、念のため施設内ではAさんを個室に隔離した。その後もAさんは発熱が続き、結果的にPCR検査で陽性が判明した。

 ▼さらに、Aさんを個室に隔離していた意図が、施設内の職員間で共有されず、体調不良等の症状がある複数の職員が、勤務を継続して複数のフロアを兼務していた。これにより、他のサービスの利用者や職員にも感染が拡大し、大規模なクラスターに発展した。

 ▼なお、Aさんの陽性結果が判明後、通所サービスは一時休止となったが、複数の利用者が発熱し、PCR検査の結果、多くの利用者の陽性が判明した。この、複数の利用者の検査結果が判明するまでの個別ケアでは、職員は個人用感染防護具を装着していなかった。

 ■【この事例の対応策1】入所者や職員の、日頃からの体調の変化に注意する。特に高齢者は、感染した際などに必ずしも典型的な症状が出ないことも予測する。このため、ふだんと様子が違う場合、サービスを見合わせる勇気を持つこと。

 ■【この事例の対応策2】入所者を個室に隔離した場合に、対応する職員を固定化する。また、この情報を平時から、職員間で情報共有する体制を構築する。具体的に「何の情報を」「いつ」「誰まで」共有するかを決めておく。

 ■【この事例の対応策3】施設内で感染者が発生したら「感染症発生時の対応」に業務体制を切替え、施設で策定した「感染対策マニュアル」に沿って行動する。また検査の結果が判明するまでの間、有症状者のケアは「標準予防策+感染経路別予防策」で対応する。

 ■このため、日頃から個人用感染防護具の着脱訓練や、研修を実施しておく。

◆───────────────────
3.発熱した入所者の入院調整に手間取り、大規模なクラスターに発展……
───────────────────◆

 ▼高齢者施設で、発熱等の症状を有する入所者が複数いたが、施設内で健康観察を続けた。その中の1人が、発症から1週間以上経った頃に容体が急変し、救急搬送して検査したら陽性が判明した。その後、陽性者の発生が続き、大規模なクラスターに発展した。

 ▼施設では、これらの陽性判明者の入院調整に時間を要し、施設内の感染者が増える中、職員の感染による自宅待機や出勤拒否により職員が不足し、法人内でも職員が確保できなくなった。また、感染防止に必要な物資が不足し、施設内のゾーニングも困難になった。

 ▼これらが重なり、入所者への十分なケアの実施が困難になった。その後、感染管理の専門家や応援職員が、自治体等から派遣されるに伴い、新規感染者数も減少し、クラスターはようやく収束した。

 ■【この事例の対応策1】入所者や職員の、日頃からの体調の変化に注意する。特にふだんと様子が違う場合、医療機関などを受診して、可能な限り速やかに入院する。

 ■【この事例の対応策2】平時からの応援体制の確保が必要だが、同一法人内などで確保できない場合は、応援体制に関して自治体に情報を求め実施手順を確認する。また、個人防護具や消毒剤等の不足が見込まれる場合は、早めに自治体・事業者団体に相談する。

 ■特に、自治体等から速やかに専門家を派遣してもらい、施設内のゾーニング等を実施することが重要。

◇─[おわりに]─────────

 テレビの報道番組によく出演している感染症対策の専門家で、街中でクリニックを経営している医師が、司会者から「先生の診療所では、感染者を積極的に受け入れているのに、クラスターは発生していない。どのような対策を取っているのか?」と質問されました。

 これに対しこの医師は「おそらく、皆さんが想像するような『特別な対策』は、何一つ取っていない。手指消毒や防護具の着用、ゾーニングなど『基本的な対策』を徹底しているだけだ」

 「ただし、この『基本的な対策』は、おそらく皆さんが想像している以上に『徹底』して実施していると思う」と述べていました。確かに、今回の「事例集」で挙げられている「対応策」も、今さら厚労省の指導を受けるまでもなく「当然のこと」ばかりです。

 ただ、この「当然のこと」を「徹底」できるか否かが、クラスターが発生するのか否かの分かれ目になりそうです。結果的に、介護サービスを利用する側にとっても今後、最も必要とされるのは「基本的な感染防止対策の徹底」になると思われます。

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*****令和3年2月23日(火・祝)第128号*****

◆◇◆◆◆─────────────
新型コロナの「ワクチン接種」に関する12の基礎知識
─────────────◆◇◇◆◆

◇─[はじめに]─────────

 医療従事者に対する先行的なワクチン接種が2月17日から始まりましたが、その担当責任者である河野大臣や、厚労省の田村大臣の発言を聞いていると、高齢者に対する接種は「4月1日以降に開始」からかなり遅れそうな様子です。

 それでもコロナ感染の発症や重症化防止には、やはりこのワクチン接種が大きな効果を発揮することは間違いないようです。それを確認するため、また実際の接種に備えて、弊紙ではここでワクチン接種の「基礎知識」を確認しておこうと考えました。

 厚生労働省は、ホームページで「新型コロナワクチンについてのQ&A」を公開=画像=し、新たな情報が加わるたびに更新していますが、2月22日時点で公表・更新された内容の中から、弊紙の読者にとって「重要」と思われる12項目を今回、取り上げてみました。

 この記事が少しでも、読者の皆さんがワクチン接種に臨む際の「心構え」の参考になれば幸いです。

 日本介護新聞発行人

────────────────◇

◆───────────────────
そもそも「ワクチン」「予防接種」とは何か?
───────────────────◆

厚労省コロナワクチンQ&A ■Q1=「ワクチン」「予防接種」とは何か?

 □A1=一般に感染症にかかると、原因となる病原体(ウイルスや細菌など)に対する「免疫」(抵抗力)ができる。免疫ができることで、その感染症に再びかかりにくくなったり、かかっても症状が軽くなったりするようになる。

 □「予防接種」とは、このような体の仕組みを使って、病気に対する免疫をつけたり、免疫を強くするために「ワクチン」を接種することを言う。

 ■Q2=「ワクチン」には、どのようなものがあるのか?

 □A2=病原体(ウイルスや細菌など)そのもの、または病原体を構成する物質などをもとに作った「ワクチン」を接種することで、その病原体に対する免疫ができる。具体的には、次のようなものがある。

 ▼生ワクチン=病原性を弱めた病原体からできている。接種すると、その病気に自然にかかった場合と、ほぼ同じ免疫力がつくことが期待できる。一方で副反応として、軽度で済むことが多いが、その病気にかかったような症状が出ることがある。

 ▽代表的なワクチンとしては、MRワクチン(M=麻しん・R=風しん)、水痘(みずほうそう)ワクチン、BCGワクチン(結核)、おたふくかぜワクチンなどがある。

 ▼不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン=感染力をなくした病原体や、病原体を構成するたんぱく質からできている。1回接種しただけでは、必要な免疫を獲得・維持できないため、一般に複数回の接種が必要だ。

 ▽代表的なワクチンとしては、日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチンなどがある。

 ▼メッセンジャーRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン=これらのワクチンでは、ウイルスを構成するタンパク質の遺伝情報を投与する。その遺伝情報をもとに、体内でウイルスのタンパク質を作る。

 ▽そのタンパク質に対する抗体が作られることで、免疫を獲得する。今回、新型コロナウイルスの表面にあるタンパク質に対するワクチンが、初めて海外で承認を受けた。

◆───────────────────
ワクチンを投与された人の方が、投与されていない人よりも、発症した人が少なかった
───────────────────◆

 ■Q3=日本の新型コロナワクチン接種は、どうなるのか?

 □A3=ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社などが、ワクチン開発を手掛けている。試験の結果、ワクチンを投与された人の方が、投与されていない人よりも、新型コロナウイルス感染症を発症した人が少なかったと発表されている。

 □この結果、米国や英国では、ファイザー社等のワクチンの緊急的な使用が認められ、接種が開始されている。日本政府はこれらの製薬企業3社から、合計で3億1,400万回分の供給を受けることについて合意をしている。

 □1人に2回接種を行うとした場合、1億5,700万人分となる。またワクチンが国内で承認され、供給できる準備が整った際に、出来るだけ早く、国民にワクチンを提供できるよう準備している。接種を希望される方々は、無料で受けることができる。

 □日本では、ファイザー社のワクチンが2021年2月14日に薬事承認された。またアストラゼネカ社から2月5日に承認申請が行われ現在、医薬品医療機器総合機構(PMDA)において承認審査が行われている。

 □一方で全国民分のワクチンを一度には確保できず、徐々に供給が行われることになる。このため一定の接種順位を決めて、政府は接種を行っていく。

◆───────────────────
ファイザー社は「変異株にも、作用する抗体がつくられた」との実験結果を発表
───────────────────◆

 ■Q4=新型コロナワクチンの効果(発症予防、持続期間)はどうなるのか?

 □A4=ファイザー社・モデルナ社・アストラゼネカ社は、開発中のワクチンを投与した人の方が、投与していない人よりも、新型コロナウイルス感染症に発症した人が少ないとの結果、または中間結果が得られたと発表している。

 □臨床試験や接種が始まってから時間があまり経過していないことから、効果の持続期間については明らかになっていない。今後の情報が明らかになるのを待つ必要がある。

 ■Q5=ワクチンは「変異株」の新型コロナウイルスにも、効果はあるのか?

 □A5=ウイルスは絶えず変異をおこしていくもので、小さな変異でワクチンの効果がなくなるというわけではない。またファイザー社のワクチンでは「変異株」の新型コロナウイルスにも「作用する抗体がつくられた」といった実験結果も発表されている。

 □承認申請がなされた新型コロナワクチンの審査に当たっては「変異株」に関する情報も含め、引き続き様々な情報を収集しつつ、政府は適切に有効性・安全性等を確認していく。

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もしワクチン接種後にアレルギー反応が起きたら、接種会場等ですぐに治療する
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 ■Q6=新型コロナワクチンの安全性と副反応について。ワクチンの安全性の確保のため、政府はどのような取組(審査の厳格性など)をしているのか?

 □A6=開発中の新型コロナ感染症のワクチンの副反応は、国内外の臨床試験等でどのようなものが起こりうるか確認されているところだ。臨床試験では、有効性・安全性等に関するデータを収集するため、開発中のワクチンを実際にヒトに投与して試験する。

 □その後、臨床試験の結果などに基づいて、ワクチンの有効性・安全性、品質についての審査が行われ、ワクチンが承認される。またワクチンの接種が開始された場合には、副反応を疑う事例を収集し、専門家による評価を行う。

 □こうした結果を公表するなどして、政府は安全性に関する情報提供などを行なっていく。

 ■Q7=これまでに認められている副反応には、どのようなものがあるのか?

 □A7=日本への供給を計画している海外のワクチンでは、ワクチン接種後に、ワクチン接種と因果関係がないものも含めて、接種部位の痛みや、頭痛・倦怠感・筋肉痛等の有害な事象がみられたことが、論文等に発表されている。

 □また海外ですでに実施されている予防接種においては、まれな頻度でアナフィラキシー(急性アレルギー反応)が発生したことが報告されている。もしアナフィラキシーが起きたときには、接種会場や医療機関ですぐに治療を行うことになる。

 ■Q8=副反応が起きた場合の、補償はどうなっているのか?

 □A8=一般的に、ワクチン接種では副反応による健康被害(病気になったり障害が残ったりすること)が、極めて稀ではあるものの避けることができないことから、救済制度が設けられている。

 □救済制度では、予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったり、障害が残ったりした場合に、予防接種法に基づく救済(医療費・障害年金等の給付)が受けられる。

 □新型コロナワクチンの接種についても、健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく救済を受けることができる。

 ■Q9=海外では、アレルギーのある人は接種を受けているのか? アレルギーのある人は、副反応が起きやすいのか?

 □A9=米国の疾病予防管理局は、他のワクチンや食べ物に対して重いアレルギーのある方も、新型コロナワクチンの接種が可能としている。ただし重いアレルギー反応を起こしたことがある人は、ワクチン接種後少なくとも15~30分間、観察が推奨されている。

 ■Q10=アナフィラキシーでは、どのような症状が出るのか? 治療法はあるのか?

 □A10=アナフィラキシーは、薬や食物が身体に入ってから、短時間で起きることのあるアレルギー反応だ。じんま疹などの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状が急に起こる。

 □血圧の低下を伴い、意識レベルの低下(呼びかけに反応しない)や、脱力を来すような場合をアナフィラキシーショックと呼ぶ。特定のワクチンだけに起きるものではなく、様々な医薬品やワクチンの投与後に報告されている。

 □例えば、インフルエンザワクチン接種後の副反応疑い報告では、因果関係があるかどうか分からないものも含め、1シーズンで約20件のアナフィラキシーの事例が報告されている。

 □予防接種後に、息苦しさなどの呼吸器症状がみられれば、接種会場や医療機関でまず、アドレナリン(エピネフリン)という薬の注射を行う。そのあと、症状を軽くするために、気管支拡張薬等の吸入や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬の点滴や内服なども行う。

 □接種後にもし、アナフィラキシーが起こっても、すぐに対応が可能なよう、予防接種の接種会場や医療機関では、医薬品などの準備をしている。

 ■Q11=ワクチンを受けた後に、熱が出たらどうすれば良いのか?

 □A11=ワクチンによる発熱は、接種後1~2日以内起こることが多く、必要な場合は解熱鎮痛剤を服用いただき、様子をみることになる。このほかワクチン接種後に比較的起きやすい症状としては、頭痛、疲労、筋肉痛、悪寒(さむけ)、関節痛などがある。

 □ワクチンによる発熱か、新型コロナウイルス感染症かを見分けるには、発熱以外に、咳や咽頭痛、味覚・嗅覚の消失、息切れ等の症状がないかどうかが手がかりとなる。ワクチンによる発熱では通常、これらの症状はみられない。

 □ワクチンを受けた後、2日以上熱が続く場合や症状が重い場合、ワクチンでは起こりにくい上記の症状がみられる場合には、医療機関等への受診や相談をご検討いただきたい。

◆───────────────────
ワクチンを受けた人が、受けていない人に対する感染予防効果は、まだ分からない
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 ■Q12=ワクチンを接種した後も、マスクは必要なのか?

 □A12=ワクチンを受けた方は、新型コロナウイルス感染症の発症を予防できると期待されているが、ワクチンを受けた方から他人への感染をどの程度予防できるかは、まだ分かっていない。

 □またワクチン接種が徐々に進んでいく段階では、すぐに多くの方が予防接種を受けられるわけではなく、ワクチンを受けた方も受けていない方も、共に社会生活を営んでいくことになる。

 □このため引き続き、国民の皆さまには感染予防対策を継続していただくようお願いします。具体的には3つの密(=密集・密接・密閉)の回避、マスクの着用、石けんによる手洗いや、手指消毒用アルコールによる消毒の励行などをお願いします。

◇─[おわりに]─────────

 このワクチン接種に関しては日々、新たな情報が報じられています。例えば「2回接種しなくても、1回だけでも効果がある」等。弊紙では今後もワクチン接種に関して、最新の情報を読者の皆さんに、できるだけ早くお届けしていきたいと思います。

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