日本介護新聞バックナンバー

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*最適な介護を、自分で選ぶための情報紙*
┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌日本介護新聞┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌┌
*****令和2年7月24日(金・祝)第118号*****

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厚労省の「読み違い」から、見えてきたもの
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◇─[はじめに]─────────

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、介護報酬改定のための議論の場=介護給付費分科会が、中断状態だったものが再開され、6月下旬から急ピッチで議論が進んでいます。本来はサービス種別ごとの「点数付け」の内容が、議題の中心なのですが……。

 厚労省にとっては「想定外」と思われる内容=「通所系で、提供した時間の区分に対応した、報酬区分の2区分上位の報酬区分を算定する取扱いを可能とする」等と通達した、いわゆる「特例措置」に対する厳しい意見=が、事務局(厚労省)に突きつけられています。

 この「特例措置の撤回」を求めて「認知症の人と家族の会」は、加藤勝信厚労大臣に「緊急要請」を提出し、その内容を広く周知するために動画を作成し、YouTubeにアップしています。

 結果から言えば「家族の会」の主張は極めて真っ当で、介護給付費分科会の出席者の中にも同調する委員がおり、厚労省は「撤回」に向けて徐々に追い込まれています。それにしても厚労省はなぜ、このような「特例措置」を考え出したのでしょうか?

 当初は「サービス利用者も含め、関係者の皆さんには、賛同してもらえるはずだ」との読みがあったはずです。では何を「読み違えた」のでしょうか? 弊紙では今回、この厚労省の「読み違い」に注目し、このことから見えてくる事柄を考察してみたいと思います。

 それは今後、介護報酬改定の議論が深まってきた段階で、何らかの影響を及ぼすのではないかと、弊紙では推測しています。

 日本介護新聞発行人

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「電話相談」から始まり「撤回を求める」要請へ進展する
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 今回の「特例措置の撤回要求」を、時系列で整理すると次のようになります。

 ▼6月1日=厚労省が「通所系サービス事業所で、提供した時間の区分に対応した、報酬区分の2区分上位の報酬区分算定を可能とする」等と通達する。「実質的な報酬アップ」の特例措置として、注目を集める。

 ▼6月15日=厚労省が、今回の特例措置の運用方法等について「Q&A」を通達する。

 ▼6月25日=特例措置が通達された後の、最初に開催された介護給付費分科会で、委員でもある家族の会・鎌田松代事務局長が「この特例措置をめぐる混乱を、国はご存じなのか?」と質問したところ、厚労省は「現状は把握しております」と返答する。

 ▼6月29日=家族の会・鈴木森夫代表理事が、加藤勝信厚労大臣に「新型コロナウイルス感染症に係る介護報酬の特例措置によるサービス利用者への負担押し付けの撤回を求める緊急要請」を提出する。同日、YouTubeに動画もアップする。

認知症の人と家族の会・緊急提言 また、家族の会が提出した「緊急要請」と、YouTubeにアップした動画=画像・右が鈴木代表、左が鎌田事務局長=で主張している要点は、次のようになります。

 ◆この(特例)通知の取り扱いをめぐり、利用者や介護の現場から戸惑いや怒りの声が多く上がっている。具体的には、家族の会の電話相談に「3時間しか利用していないのに、5時間の利用料を払わなければならないのは納得できない」等との抗議が寄せられている。

 ◆コロナ禍で大変な中、利用者の安全や健康を守るためにがんばって事業継続して頂いている事業所には、感謝の気持ちでいっぱいだ。だからといって利用者にその感謝の代償として、実際には利用していないサービスの分まで負担しろというのは、あまりにも理不尽だ。

 ◆特例措置の実施によって、介護保険の区分支給限度額を超えてしまえば、その分は全額自己負担となってしまう。到底、道理に合わないやり方であり、同意した利用者だけが負担増となり、同意しない利用者は負担しない、との不公平が生じる。

 ◆今回、介護事業所が運営上大きな困難に直面せざるを得なかったのは、ひとえに新型コロナウイルス感染症の蔓延によるものであり、事業所の責任でも、利用者・家族の責任でもない。

 ◆不可抗力による事態を、利用者に負担を押し付けて解消しようとするような今回の措置は、利用者と事業者の信頼関係を壊すだけでなく、介護保険制度への国民の信頼を揺るがし、国の責任を放棄するものと言わざるを得ない。

 ◆このような先例を絶対に作ってはならない。直ちに、今回の特例措置(臨時的取り扱い)を撤回し、介護事業所の減収や感染対策にかかる経費等についてこそ、補正予算の予備費を使い、公費で補填するよう、強く求める。

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厚労省の「読み違い」が露呈した6月15日の「Q&A」
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 家族の会の主張は極めて真っ当で、反論の余地が全く見当たりません。厚労省は、そもそも6月1日に、この特例措置を通達したこと自体が「間違いの始まり」ですが、その中でも弊紙が注目したのが、6月15日に通達した「Q&A」です。

 詳細は、弊紙「ビジネス版」6月17日号をご覧頂きたいのですが、その中でも次の2つの項目に弊紙は注目しました。

 ▼Q1=「(6月1日の通達では)利用者への事前の同意が必要」とされているが、サービス提供前に同意を得る必要があるのか?

 ▽A1=同意については、サービス提供前に説明を行った上で得ることが望ましいが、サービス提供前に同意を得ていない場合であっても、給付費請求前までに同意を得られれば(特例措置を)適用して差し支えない。

 ▽例えば6月のサービス提供日が8日・29日である場合、同月の初回サービス提供日である6月8日以前に、同意を得る必要はない。

 ▼Q2=「利用者の同意」は、書面(署名捺印)により行う必要があるか?

 ▽A2=必ずしも書面(署名捺印)による同意確認を得る必要はなく、保険者の判断により柔軟に取り扱われたいが、説明者の氏名・説明内容・説明し同意を得た日時・同意した者の氏名について、記録を残しておくこと。

 この2つの項目を額面通りに解釈すれば「利用者への事前の同意は、必ずしも必要ではない」「利用者の同意は書面でなくても、口頭でのやり取りでも可能」になります。これでは「利用者の同意を得ることを、軽く捉えていないか?」との疑念が生じることになります。

 つまり今回の特例措置の実施では「厚労省には、サービス利用者の立場に立った視点が完全に欠けていた」との指摘を受けても、仕方がないと言えます。厚労省も本来は「なんとか通所系のサービス事業者の皆さんにも加算を……」と考えたのでしょう。

 しかし結果的には、家族の会の会員から「架空請求ではないか?」との指摘を受ける始末になっています。さらに「ケアマネも困っているし、サービス事業者も『利用者にどう説明したら良いか、わからない』と、みんなが困っている」とも言及されています。

 結果的に、この6月15日の通達が「厚労省の読み違いを、公に証明してしまった」と言えるでしょう。介護給付費分科会には構成委員として、家族の会では鎌田事務局長が出席しています。

 家族の会以外にも、通所系サービスを実施している事業者も含め、介護業界の主要な業界団体はほとんど全て参加しています。今回の家族の会の主張を会議の場で聞いて、自らの団体の会員に対し「特例措置を積極的に活用するように」とは通達できないでしょう。

 また一般マスコミも数社、家族の会の主張内容をニュースや紙面で報じています。厚労省が今後、特例措置を正式に撤回するか否かに関わらず、全国の介護事業者はこの特例措置を「利用控え」せざるを得ない状況に進んでいます。

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「利用者の声」が、事態を動かす
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 弊紙発行人は、介護業界の取材を始めてから約6年になりますがこの間、厚労省が正式に出した通達が「撤回」された事例は記憶にありません。仮に今回、正式に「撤回」にまで至らなくても、すでに「事実上の撤回に至った」と判断することもできると思います。

 通常、国(政府)が一度決定したことを覆すのは「政治の力」がない限り困難です。今回は「介護保険の利用者の声」が、家族の会という「組織」を動かし、厚労省をも動かそうとしています。

 特に今回は「新型コロナの感染拡大による影響」という、特殊な事情が背景にあったことは事実ですが、「利用者の声」が事態を動かしたことも事実です。介護給付費分科会では、介護保険サービスの「点数付け」の内容について、議論が交わされます。

 ここで毎回、注目されるのは、介護保険料を含めた社会保障費の伸びをできるだけ抑えたい財務省と、財務省の削減要求をできるだけかわしたい厚労省との闘いです。介護給付費分科会では「厚労省には(財務省に対し)頑張って欲しい」とのエールも聞かれます。

 弊紙が取材した過去2回の介護報酬改定では、最後は「政治決着」して、厚労省が「なんとか踏ん張った」と感じています。裏を返せば、介護給付費分科会でいくら「利用者の声」を訴えても、これまではなかなか「通用しなかった」というのが、弊紙の正直な感想です。

 それが、もしかしたら今回の改定で「特例措置の撤回」の主張の原動力となった「利用者の声」が、介護報酬の改定の議論でも大きな影響力を発揮して「通用する」のではないか──そんな印象を、弊紙は率直に感じています。

◇─[おわりに]─────────

 6月15日の「Q&A」を、弊紙「ビジネス版」6月17日号で報じた時に、「後記」に「『不慮のトラブル』を回避するためにも最低限、利用者も負担増になる点を文書で説明しておいた方が得策と思われます」と書きました。

 お恥ずかしながら、この時点で「この通達は、さすがにまずいな」と感じたものの、まさか家族の会から「撤回要求」が出てくるまでに至るとは、想像もしていませんでした。その意味では、弊紙も「読み違い」をしておりました。

 日本介護新聞本紙「エンドユーザ─版」は「最適な介護を、自分で選ぶための情報紙」を標ぼうしております。その原点に立ち返れば、やはり「ビジネス版」6月17日号の「後記」では「撤回すべき」と主張すべきでした。

 その意味で、家族の会が「利用者の声」を真しに受け止め、厚労省に「撤回」を要求した一連の活動は、弊紙にとって大変勉強になりました。これを機に弊紙も反省して今一度、原点に立ち返って記事を作成し、配信することを心がけてまいります。

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*****令和2年6月30日(火)第117号*****

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新型コロナによる不安への対策は「とにかく、雑談をしよう」
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◇─[はじめに]─────────

 先週金曜(6月26日)に配信した弊紙・ビジネス版第293号=内科医が「コロナに感染していないのに、最近ちょっと変」を解説=で、内科医の國松淳和医師が「シャムズ」について書いた本の、出版記念記者会見で講演した内容を紹介しました。

 これは「コロナ感染の拡大に伴う影響」を、國松医師が「シャムズ」という言葉で見事に言い表していると思い、弊紙・ビジネス版で要点のみ取り上げました。その後、この記事のヘッドラインをTwitterとFacebookで紹介したところ、予想以上の反響がありました。

 今後、襲来が予想されるコロナの「第2波」に備え、この「シャムズ」の考え方が本紙・エンドユーザー版の読者の皆さんにも大いに参考になるのではと考え、さらに詳しく「シャムズ」について紹介しようと思いました。

 特に、國松医師が指摘する「シャムズは、医療者だけで対応するのは無理。一般の人が見つけて、一般の人がその場で治すこと」は、介護サービスを受けている方や、その家族にはそのまま実践できる重要な「新型コロナ対策」だと、弊紙では捉えています。

 医療関係者はよく「新型コロナを、正しく恐れる」と言いますが、この「シャムズ」を理解することでそれが可能になるのでは、と思います。

 日本介護新聞発行人

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 【今回の記事は、南多摩病院(東京・八王子)の総合内科・膠原病内科医師である國松淳和氏が、著書「コロナのせいにしてみよう。シャムズの話」(金原出版・価格(税別)1300円)=画像=の発刊プレスセミナーを、6月26日に都内で開催した際に講演を行い、その内容を弊紙の記事として再構成したものです】

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「健全な不安」は必要だが、問題なのは「不安にやられてしまう」こと
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シャムズ本・表紙 今回はコロナウイルスに感染した、多くの方々が様々な被害を受けたが、その数の比ではない影響が現実に起きている。それは「コロナでおかしくなった人たち」が、続々と出現していることだ。

 別にコロナウイルスに感染しているわけではないのに「コロナな世の中」になってからというもの、何か「その人らしくなく、変わってしまった人」が多く存在する。そんな人たちが、皆さんの周りにもおられるのでは、と思う。

 それではその人たちには、コロナの何が影響したしたのか? それは「不安」だ。では「不安」だけで本当に「おかしくなる」のか? 実は「不安」には効能もある。つまり不安になることで、いいこともある。

 そもそも「不安」は、人間にとって自然な情動だ。「健全な不安」は、むしろ必要だ。ここで私が問題視しているのは「不安にやられてしまっている人たちがいる」ということだ。ただしその「不安」の内容は、周りから見れば「ん?」「あれ?」という程度のものが多い。

 本当は「現実的には遠い」ところにあるリスクを「余計に近く」に感じてしまっていることで「おかしくなる」事例がある。その代表例として「精神的加重」がある。

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「精神的加重」で、どのような症状があらわれるのか?
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 「精神的加重」とは医学用語で、その人にグッと負担がかかると脳が参ってしまい、いろいろなことが立ち行かなくなり、脳はそれを減じようと、さらなる警告・逃避反応を起こさせることだ。

 これにより「足が動かなくなる」「声が出なくなる」「どこかがしびれたままになる」「立てなくなる」「歩けなくなる」「物が持てなくなる」等の症状に陥る。この現象を「転換(症)」という。ここで、数年前に起きた「精神的加重」の事例をご紹介する。

 ある時「苦しい!」と訴えて救急受診した中年男性がいた。男性は病院に着くと「苦しい!」とも言うが、それよりも大騒ぎして、医療者たちに怒鳴り散らした。これには家族も戸惑い「いつもはこんな人ではない」とびっくりした。

 その場にいた全員が「急に精神疾患でも発症したのではないか?」と考えた。「早く精神科の先生を呼ぼう」と皆が考えたが……。実は、この大暴れした中年男性は「肺炎」だった。これは数年前の事例で、もちろん新型コロナが世の中を席巻する以前の話しだ。

 では新型コロナのような、変わった特殊な肺炎だったのか? そうではない。この男性は医師から「肺炎」と診断されて点滴をして、それが終わった頃にはかなり穏やかになった。抗菌薬を処方して、医師から3日後の外来受診の指示を受けた。

 そして3日後、実はこの中年男性はかなり礼儀正しい真面目な会社員で、救急診療した医師たちに「先日はありがとうございました」とていねいにお礼を述べた。医師たちは「これが、あの大暴れした中年男性か?」と驚いた。

 これを医学的に解説すると「肺炎」という体の病気が中年男性にとって「精神的な加重」となり、怒鳴り散らすなどの「不適応行動(広義の転換症)」を起こした、となる。周りから「精神疾患にでもなったのでは?」というほどの、精神面の変化を引き起こした。

 ただし「精神的な加重」が取れたらスッと治った。

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「シャムズ」は「なってはいけない」ものではない
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 ここで、新型コロナの話しに戻る。私は、新型コロナウイルスが誘発する精神状態の変化を「CIAMS(シャムズ)」=COVID-19/Coronavirus-induced altered mental status=と命名した。「シャムズ」は病名ではない。むしろ概念に近い。

 新型コロナの不安で参っているたくさんの人を「いち早く正常に持っていく」という、私なりの方法論を構築する中で、この「シャムズ」を考えた。「シャムズ」とは「いつもの、その人らしくなさ」を問題視するための「病名風な呼び名」であり、病名ではない。

 コロナが世の中に蔓延し、コロナへの過剰な不安が広がり「精神的加重」が生じる。これにより、からだの症状・おかしな行動や言動など「妙な変化」が起きる。これが「シャムズ」だ。

 しかし「シャムズ」は、なってはいけないものではない。むしろなっていいし、なった方が自然かも知れない。ただし「シャムズ」をこじらせて、本当の病気になるのは良くない。その最たるもの(最悪な結末)は「うつ病による死亡」だ。

 私は今回、皆さんへのメッセージとして「シャムズりそうな人に、早く気づきたい」と発信したかった。

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では、どうすれば良いのか?──3つの対応策
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 では、どうすれば良いのか? 具体的な対応策は次の3点がある。

 1、雑談量を増やす
 2、自己メンテナンス
 3、周囲への声かけ

 まず、最初の「雑談」。単純に、もっと雑談をして欲しい。「どのような雑談を?」という内容的な問題ではなく、そもそも今の世の中、雑談が少なすぎる。内容はなんでもオッケーだ。禁止事項はほぼなし。できれば「くだらない内容」がいい。

 実際に会わなくて、ネットでも電話でもオッケーだ。もちろん文字(メール)でもオッケーだ。2番目の「自己メンテナンス」は「何はともあれ、まず自分」を心がけること。「これはイヤ! それもイヤ! あれもイヤ!」と、外に嫌な要因を求めるのは良くない。

 つまり「粛々と、自分のコントロールを現実的に行うこと」だ。具体的には、情報の遮断・数字の回避・喧騒づくり等が挙げられる。例えば「情報の遮断」とは、TVだけでも避けるとか「数字」が目に入らないようにすることだ。

 ここで皆さんには「新型コロナウイルス」を知らなかった時のことを思い出して欲しい。風邪を引いても「風邪だなあ」と思うだけだ。コロナを知っているから「不安」になる。実際にはコロナに感染していなくても「過剰な不安」になるのは「知っているから」だ。

 コロナの感染者数などの「数字」は、元々は玄人が扱い処理するものだ。「数字」は見ないことが大切で、これまでTVの情報番組を見ていたのを遮断して、その時間をラジオ番組や映画、あるいは音楽鑑賞へ振り替える。運動や趣味にそのまま没頭するのも良い。

 3番目の「周囲への声かけ」。では誰に「声かけ」するのか? 答えは「周りの人全員」。誰かを、選ばないことが大事だ。元気そうな人に対しても話しかける。動物や植物でもオッケーだ。話す相手は「自分自身」でもオッケーだ。

 つまり「不安が種」となって「シャムズ」になる。「シャムズ」は脳に負担がかかって、行動や言動がいつもの「その人らしくなくなる」ことだ。コロナが席巻するこんな世の中では「シャムズ」になるのも当然だし、無理もない。むしろなって当然だ。

 ただし、ほっとくと不健全ではある。そのために「雑談・自己メンテ・声かけ」を実践する必要がある。これらにより私は「シャムズ」が悪化する前に、自然に和らぐことを期待する。

◆───────────────────
「シャムズ」を知って、賢く生きよう
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 私は今回の「コロナのせいにしてみよう。シャムズの話」で、みなさんの中で「どうなる?」という外的な事柄への、不安ばかりが増大している現状に対し「どうするか自分で考える」と思えるような、内的変化をこの本で促したい、と考えた。

 「シャムズ」に対応するには、医療者だけでは無理だ。また、この本を読んで「シャムズっぽい人」を見つけても、病院につれて来ないで頂きたい。私は「シャムズ」は「一般の人が見つけて、一般の人がその場で治す」という、一つのアプローチを試みている。

 最後に皆さんに申し上げたいのは「シャムズを知って、かしこく生きよう」ということだ。医療者ではなく、一般の人に「こそ」できることがある。しかもそれは「最善」であると、私は考えている。

◇─[おわりに]─────────

 國松医師は著書の中で「高齢者の『シャムズ』は、それが認識されにくい点が怖い」と指摘しています。高齢者は一般的に、若者に比べて喋らないし活動的でもない傾向があり、新型コロナの「不安」が別の症状に「転換」しても判別しにくい点も挙げています。

 また「不安は『会話の不足』からきている。その対策は相手を選ばす、とにかくしゃべる・声をかけることに尽きる」そうです。興味のある方は、ぜひ國松医師の著書を一読してみて下さい。

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◆◇◆◆◆─────────────
豊島区・選択的介護は、介護サービスの「新たな選択肢」となるのか?
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◇─[はじめに]─────────

 弊紙・ビジネス版第288号(6月19日付け)で「東京都・豊島区『選択的介護』特区申請まで踏み込まない見込み」を配信しました。「選択的介護」は、国家戦略特区を活用した、いわゆる「混合介護」には到達する可能性が低くなりました。

豊島区混合介護第5回会合 今から3年前、2017年(平成29年)6月に豊島区が事務局となり「有識者会議」=写真は平成30年5月に開催された第5回会合=を立ち上げた際は、一般マスコミから「混合介護」の実現が期待される趣旨の報道が相次ぎましたが、これとは異なる形で来年3月に「選択的介護モデル事業」が終了する見込みです。

 結果的に「選択的介護」は、現行の介護保険制度の枠内で、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせたサービスを、ケアマネジャーと行政(豊島区)が関与した形で、介護事業者が利用者に提供するという「新たな事業モデル」を示したことになります。

 来年4月から東京都は豊島区以外に、この「新たな事業モデル」を都内で実施すべく、周知活動に注力することになります。この「選択的介護」の最初の利用者があったのが2018年(平成30年)8月で、それから現在まで2年弱で利用者(契約者)は38人。

 この「選択的介護」は、介護サービスの「新たな選択肢」となるのか──6月10日に開催された「有識者介護」の第10回会合で示された資料で、効果検証のために実施された3者(事業者・ケアマネ・利用者)へのアンケート調査から考察してみたいと思います。

 日本介護新聞発行人

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2年弱でサービス利用者は38人
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 「選択的介護」には、「平成30年度」と「令和元年度」の2つのモデル事業がありますが、「令和元年度モデル事業」は利用者が7人で、いずれも今年1月から3月の間に利用を開始したばかりのため、今回の記事では「平成30年度モデル」の調査に着目しました。

 「平成30年度」は、最初の利用者があったのが2018年(平成30年)8月で、それから現在まで2年弱で利用者(契約者)は38人で、サービス利用の延べ件数は45件。11事業者が参加しており、そのうち現在までサービスを提供している事業者は8者。

 サービス区分ごとの内訳は、居宅内のサービス26件、居宅外のサービス9件、見守り等のサービス10件となっています。当初、一般マスコミの報道により「鳴り物入り」で始まった経緯から考えれば、数字的には「寂しい結果」と言えるでしょう。

 では、内容的にはどのように評価されているのか? 「選択的介護・平成30年度モデル事業」を提供した介護事業者、ケアプランを作成したケアマネジャー、実際のサービス利用者の3者の「声」を、アンケートの調査結果の分析から読み解いてみたいと思います。

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事業者向けアンケート調査結果=「好影響があった」が63%
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 【対象者】豊島区内の「選択的介護」提供事業者
 【回収数】10件(対象事業者数11者)
 【実施方法】アンケート郵送調査

 主な回答は、次の通り。この中でケアマネに関係する項目は「▼」で表示した。

 ▼選択的介護の利用者への提案件数に対して、利用に至らなかった割合は約6割となっている。理由としては「利用者に有益なサービスと感じてもらえなかった」「担当ケアマネジャーの理解が得られなかった」などが主な回答内容であった。

 ▽「選択的介護」のサービスの提供にあたって、負担に感じていることは「利用者へのサービス内容の説明で、保険外サービスとの違い等」「サービス提供計画の作成・同意」。

 ▽事業者として、必要だと思う行政からの支援内容としては「区民に向けた広報・周知」「人材確保や人材育成に係る支援の充実」が多い。

 ▼「選択的介護」実施にあたっての課題としては、7割の事業者が「ケアマネジャーの選択的介護への理解不足」「利用対象者の制限=要支援者・生活保護受給者が使用できない」と回答している。

 ▼事業者の回答のうち、約半数のケアマネジャーが「選択的介護」以外の保険外サービスの利用者がいる、と回答している。

 ▽事業者の回答者の41%が「選択的介護」を利用者に提案した経験があり、うち31%は「選択的介護」の利用者を担当している。「選択的介護」利用者の担当数は1~5名と、事業者間でばらつきがある。

 ▽介護保険利用者のうち「選択的介護」を利用しそうな人が「1人もいない」という回答は、前回アンケート時から大きく減少している。57%から39%と18ポイント減少した。

 ▽一方で「選択的介護を利用しそうな人が2割未満いる」という回答は、前回アンケートから12ポイント増の29%となっている。

 ▽「選択的介護」の、今後のケアプランへの盛り込み意向について「積極的に盛り込みたい」という事業者の回答は、前回アンケート時の6%から8%の微増となった。

 ▽「盛り込みには慎重」という回答は、前回アンケート時の37%から27%と10ポイント減少した。また「これらの回答に関する1年前と比較した意識の変化」について「変化があった」と回答した事業者の多くが「研修をきっかけに意識が変わった」と回答している。

 ▽「選択的介護」をケアプランに積極的に盛り込まない理由は「10割負担のため、提案しにくい」という回答が多い。

 ▽選択的介護を利用することによる利用者への影響について「少し好影響がある」「好影響がある」という回答は、前回アンケート時より30ポイント増の63%となっており、影響がある項目としては「QOL」「生活の幅」「精神面」の回答が多い。

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ケアマネ向けアンケート調査結果=肯定的に「意識が変化した」
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 【対象者】令和2年2月現在、豊島区内の居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャー
 【回収数】173件(対象者数239名)
 【実施方法】アンケート郵送調査

 ▽「選択的介護」を実施したことで、ケアマネにとってのメリットは、利用者QOLの向上・自立度向上・家族の不安軽減・利用者の理解につながり、事業者連携やケアマネジメントの向上に繋がった等の意見が見られた。

 ▽一方で、デメリットとしては、事業者との調整等の負担がかかるという意見が見られた。

 ▽「選択的介護」をより浸透させていくために、ケアマネが豊島区に期待する取組は「料金やサービス内容の見直し」(61%)「提供事業所の拡大」(51%)という回答が多い。

 ▼「選択的介護」のケアプランへの位置付けや、その検討を行うことを通じての意識の変化については、肯定的な回答(「非常に思う」「やや思う」)が多く見られた。その割合は、前回アンケート時と比較して1~2割程度増加している。

 ■「肯定的な回答」が見られたアンケート項目

 ・保険外サービスを、検討し位置づけることの有用性を再認識した。
 ・ケアプラン作成と見直しを、より多様な視点で情報を分析し、検討するようになった。
 ・より多様なサービスについて、検討する必要性を感じるようになった。
 ・アセスメントやモニタリングの、視野が広がった。
 ・多職種連携の重要性を、これまで以上に感じるようになった。

 ▽「選択的介護」を利用して、利用者やそのご家族、その他の関係者の変化として「利用者の在宅生活の継続に寄与している」(59%)との回答が最も多い。

 ▽豊島区が継続的に実施している「選択的介護実務者研修」に「参加したことがある」は68%、「参加したことがない」は27%だった。

 【事務局コメント】研修に参加したことがない方と比べて、研修への参加経験のあるケアマネは「選択的介護」の利用者像がイメージできている傾向があり、ケアプランに「選択的介護」を盛り込む意向も高いことが確認された。

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利用者向けアンケート調査結果=全員が「満足している」
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 【対象者】「選択的介護」利用者で令和2年2月現在、6ヶ月以上継続してサービスを利用している方。本人への聞き取りが困難な場合は家族等を対象とする。
 【回収数】9件=本人5名・家族等4名
 【実施方法】ケアマネが利用者宅で聞き取りを行い、調査票に記入する訪問調査

 ▼「選択的介護」を知ったきっかけは、大半(9名中8名)が「ケアマから聞いた」と回答しており「選択的介護」を利用者や家族に周知する上で、ケアマネが重要なチャネルとなっていることが確認された。

 ▼「選択的介護」に対する満足度は、全員が「満足している」と回答している。「大変満足している」が3人「満足している」が6人。

 ▼「選択的介護」の利用が、利用者や家族に良い影響を与えているとの意見が多くみられ、「自宅で暮らし続ける自信がついた」等、在宅生活の継続につながるような意見も見られた。

 ■利用者の声

 ・ヘルパーさんと話すことで寂しさが払拭され、楽しい時間を過ごすことができました。
 ・「融通の利く」仕組みなので、ありがたいと思います。
 ・自分ではとてもできない、窓ガラスの掃除をしてもらえています。慣れているヘルパーさんが来てくれるので、安心してお願いすることができています。
 ・「選択的介護」を利用して、これからも自宅で暮らし続ける自信がつきました。

 ■家族の声

 ・いつも来てくれているヘルパーさんなので、安心してお任せできました。
 ・本人にとって「見守り」があることの安心感が、精神的な安定につながっているようです。
 ・ヘルパーさんとのコミュニケーションをとることを、楽しんでいる印象もあります。
 ・カメラで生活の状況を確認できるので、仕事中でも安心できます。

 【事務局コメント】好意的な意見がある一方で「サービスの使い方がなかなか理解できない」「介護保険サービスとの区別が分からない」という意見も一部存在しており、サービスや費用について、より分かりやすく説明することも課題と考えられる。

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豊島区の分析=利用者の在宅生活の継続へ、寄与できる可能性も
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 豊島区では、3者(事業者・ケアマネ・利用者)へのアンケート結果から「効果(=▽印)課題(=▼印)」として、以下の事項を挙げています。

 ▽区内のケアマネにおいて「選択的介護が有効な利用者像」等のイメージが浸透してきている。

 ▽「選択的介護」が、利用者の健康状態や自立支援、精神面等に与える影響について、多くのケアマネが肯定的に捉えている。

 ▽「選択的介護」について、検討を行うことがケアマネジャー自身の意識変化にもつながっており、区が継続的に実施している「選択的介護実務者研修」もその一助となっていると考えられる。

 ▽利用者の満足度は高く「選択的介護」が利用者の在宅生活の継続へ寄与できる可能性も示されている。

 ▼事業者やケアマネが「選択的介護」の利用について、提案を行っても利用に至らないケースも多い。

 ▼事業者・ケアマネのいずれも「事務や調整に係る負担がある」という回答は多い。

 ▼一層の利用拡大に向けては、提供事業所の拡大、事業者・ケアマネ・利用者それぞれへの、さらなる理解促進が必要と考えられる。

◇─[おわりに]─────────

 冒頭で「数字的には『寂しい結果』と言えるでしょう」と書きましたが、少数ながらも利用者はほぼ、全員が「選択的介護」の利用に満足しています。ケアマネや介護事業者の評価も高く、その意味では「内容的には成功」と言えるでしょう。

 後は、利用者側からみれば「選択的介護」が、通常の「保険外サービス」と比較して何が「メリット」なのかが、評価の大きな基準になると思われます。東京都は来年4月以降、豊島区以外の都内の市区町村に「選択的介護」の周知・PRを行う予定です。

 豊島区という限られた地域内では「内容的には成功」かも知れませんが、多くの介護サービス利用者にとって「選択的介護」が「新たな選択肢」となるのか否かは、来年4月以降に結論が出ることになりそうです。

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